はじめに
本学における男女共同参画=ジェンダー平等推进の动きは、すでに长い歴史をもっています。1960年代には、保育所设置の运动が生まれ、大学の协力のもとで职员组合等の力で共同保育所が运営されていました。现在、この共同保育所は、朱い実、风の子の両保育所(ともに京都市认可保育所)として受け継がれています。また、両认可保育所の発足以后も、入所措置前の乳児に対して、大学雇用の复数の保育士を配置した共同保育所(少子化や育児休业制度、さらに京都市の保育所制度の一定の整备などにともない1999年に完全廃止)が设けられ、就业?研究と育児の両立を支えてきました。
女性研究者のネットワーク形成という点でも、京都大学は全国の大学にさきがけ、1981年には、女性教官(当时、现在は教员)恳话会が诞生し、総长との恳谈の机会を継続的にもつことで、学内における女性をめぐる诸问题の解决の动きを进めてきました。
1999年に男女共同参画社会基本法が制定され、各大学において男女共同参画推进の动きが强まるなかで、本学においても、2005年10月に男女共同参画企画推进委员会が设置されました。2006年3月には、男女共同参画に関する「基本理念」と「基本方针」とが策定、公表されています。2006年9月には、文部科学省の科学技术振兴调整费「女性研究者支援モデル育成」事业に、本学の「女性研究者の包括的支援「京都大学モデル」」が採択されたことを契机に、「女性研究者支援センター」が设置されました。また、男女共同参画企画推进委员会によって、全学の役员?教职员?学部学生?大学院学生を対象に、「京都大学男女共同参画推进に関する意识?実态调査」が実施され、2007年6月には、报告书の形でまとめられています。
本提言は、以上のような本学内外の动きや、学内の意识调査の成果を踏まえつつ、役员?教员?职员?学生を含む全构成员を対象とした、本学における男女共同参画の一层の推进に向けたアクション?プラン策定のために、プランに盛り込むべき内容についてまとめたものです。本提言をもとに、本学における男女共同参画推进に向けた実効性あるアクション?プランが一日も早く策定?推进されることを念愿します。
アクション?プランに盛り込むべき内容についての提言(骨子)
本提言は、すでに発表されている京都大学男女共同参画基本方针として公表された7つの项目に沿って、アクション?プランに盛り込むことが必要と思われる课题について整理したものです。その上で、このプランを実行するための推进体制について述べる形をとっています。
1. 男女共同参画の視点に立った教育?研究および就業の確立
本学の现状は、ジェンダー?バランスという点で极めて偏った状况であると言わざるを得ません。意思决定に関わる女性の数は极めて少なく、女性教员割合は日本の大学の中でも极端に低い状况にあります。意思决定におけるジェンダー?バランスへの十分な配虑とともに、女性教职员の积极的な登用策や、すでに开始されている女性研究者支援策の一层の强化が求められます。
また、学内における男女共同参画の推進のためにも、男女共同参画の視点に立脚した、研究環境および職場環境の見直しや、多面的な業績評価の仕組み作りの整備が必要です。女性が大多数を占める非常勤職員の働き方への配慮も重要な課題です。PD や研修員、任期付きポストの研究者など、不安定な立場にある構成員が、性別に関わらず、自分なりのキャリアデザインが描けるよう支援していくことも考えなければなりません。
さらに、ジェンダー平等の视点からの学内施设の见直しを进めることも必要になります。
- 大学の意思决定におけるジェンダー?バランスへの配虑の彻底
- 女性教职员の积极的登用?昇进
- 若手教职员への积极的指导と人材育成
- 非常勤研究员等、不安定な条件のもとにある构成员の働き方やキャリアデザインへの配虑
- ジェンダー问题に敏感な视点からの研究环境?职场环境の见直し
- 女子学部学生?大学院学生への指导の充実と女性研究者育成
- ジェンダー问题に敏感な视点からの学内设备?建物の见直し
- 防犯体制の充実
2. 教育?研究および就業と家庭生活の両立支援
大学における男女共同参画の推进にとって、教育?研究や就业と家庭生活の両立は极めて重要な课题です。特に、子どもがいる若い教职员や学部学生?大学院学生にとって、安心できる育児の仕组み作りは不可欠です。大学関连の保育所との连携などによる育児相谈?保育所入所相谈の充実が求められます。なかでも、育児休业もなく、保育园の入所という点でもさまざまな困难を抱える子育て中の学部学生?大学院学生の子育て支援は紧急を要します。育児支援のためにも、すでに始まっている病児保育の継続と発展とともに、意识调査においても设置希望が高い割合を占めている学内保育所(特に乳児対象)の设置を検讨することは必须の课题です。
育児をかかえる世代はキャリア形成期にあたるケースがしばしば見られます。キャリア形成期の若い世代が、研究?就業と家庭形成が両立できるような支援の仕組み作りは、大学の活力のためにも極めて重要です。育児休業や育児時間取得の積極的な促進とともに、実験研究補助者制度の一層の推進等、それを支える支援制度を充実させる必要があります。育児?介護休業中の研究者への図書館等を通じた情報提供やIT を活用した在宅勤務の仕組みを検討することも考えられます。
高齢社会の深まりに従って、要介护の家族を持つ教职员の増加が予想されます。研究?就业と介护の両立支援も、今后ますます重要になります。
両立支援の要になるのは、男女の教职员のワーク?ライフ?バランスです。柔软な勤务时间の制度の确立や、まだまだ少ない男性の育児参加を促进する効果的な制度の导入は、そのための重要な契机になると思われます。
家庭の事情やライフサイクルも多様化しています。家庭の事情により退职した职员の再採用制度や育児短时间勤务制度など、多様なキャリアパターンに対応しうる教育?研究?就业の仕组み作りを考える必要があります。
- 教职员?学部学生?大学院学生等にとって安心できる保育体制の确立
- 育児休业、育児部分休业の积极的取得促进
- 学内保育(学童含む)施设の设置
- 教职员?学部学生?大学院学生等への介护に関する支援の充実
- 実験研究补助者制度等の拡充
- ワーク?ライフ?バランスに向けての働き方の见直し
- 男女教职员の柔软な勤务时间?勤务体制の取り入れ
- 多様なキャリアパターンに対応可能な教育?研究?就业制度の确立
- 男性の育児休业?介护休业取得の推进
- 滨罢等を活用した休业中の教职员への情报提供の整备
- 在宅勤务制度の検讨
- キャリア形成期の教职员のキャリア継続支援と家庭形成に関わる障害の除去
- 就业?研究と家庭生活の両立支援策についての情报の周知
3. 男女共同参画に資する教育?学習?研究の充実
男女共同参画社会の形成に资する教育?研究の発展は、大学にとって极めて重要な课题です。本学にはジェンダー问题について研究する研究者が多数存在しています。しかし、残念ながら、全学共通科目をはじめ、男女共同参画やジェンダーについて体系的な教育の仕组みが整备されているとはいいがたい状况にあります。全学で、ジェンダー教育の一层の推进を进める必要があります。そのためにも、学内外のジェンダー研究者のネットワークを构筑するとともに、ジェンダー教育?研究についての専门的な组织を设置することを考える必要があります。
社会参加という点で、女子学部学生や女子大学院学生にとっては、いまださまざまな制限が存在しています。女子学生を対象にしたキャリア?ガイダンスの充実や、女性研究者を目指す女子高校生への积极的な働きかけを継続して进める必要があります。
社会教育?生涯学习の场でのジェンダー教育に大学として积极的に関わることも重要です。ジュニアキャンパスやシニアキャンパス等、大学の公开讲座などでのジェンダー问题関连讲座の开设は、そのひとつの机会になるはずです。
- ジェンダーに関する科目开讲の拡充
- ジェンダー研究の充実
- 女子学生を対象にしたキャリア?ガイダンスの拡充
- 女子高校生を対象にしたセミナー?フォーラム等の开催
- ジュニアキャンパス?シニアキャンパス等、大学の公开讲座等におけるジェンダー问题関连讲座の开设
4. 性差別への敏感な対応と迅速な解決
ハラスメント等の人権侵害については、大学として厳しく対応する必要があります。そのためにも、各種ハラスメントについて、被害者が安心して相談できる仕組みを充実する必要があります。また、被害者に対する様々なケア体制の確立と、ハラスメントに対する迅速で公正な対応を進めることが大切です。ハラスメントが人権侵害であるという視点に立った、広报活动の拡充も重要な課題です。
また、これまで大学における人権问题においては十分に対応して来たとは言い切れないセクシュアル?マイノリテイの人権について、きちんとした対応を整备することも求められます。
- 各种ハラスメント相谈の充実
- ハラスメントに対する迅速かつ公正な対応のための制度拡充
- ハラスメント問題についての広报活动の拡充
5. 教職員?学生への啓発活動の推進
学内における男女共同参画推进に向けての広报や启発活动の重要性はいうまでもありません。男女共同参画については、男女の间で意识や问题関心に相违がみられることがしばしばあります。そのため、この问题の研修や教育については、ときには男女别に场を设定することも有効です。
なかでも、この问题についてはまだまだ十分に対応仕切れていない人が多い男性教职员?学生対象の启発は、学内における男女共同参画の推进にとって必须の课题です。具体的には、男女共同参画の意义についての研修や家事?育児?介护等についての男性向け実习讲座の开催なども考える必要があります。
また、女性の教职员に対しても、女性のキャリアアップやチャレンジ支援のための情报提供の充実が求められます。
さらに、男女両性に向けたセミナーやシンポジウムの开催、启発パンフレットの発行は积极的に进める必要があります。
- 男性教职员を対象にした男女共同参画についての意识启発活动の充実
- 女性教职员を対象にした男女共同参画についての情报提供の拡充
- 学生を対象にした男女共同参画に関わる启発活动の整备
- 男女共同参画についてのセミナー?シンポジウムの开催
- 男女共同参画についてのパンフレット等の発行
6. 国?地方自治体、企業や市民セクターとの連携
男女共同参画施策を推进しつつある政府、特に内阁府?文部科学省や、京都府?京都市を始めとする地元自治体との连携も重要です。これら公的机関との情报交换等の强化とともに、调査研究の成果を政策に生かすためにも、男女共同参画政策への积极的提言等を推进することもこれからの大学の重要な役割です。
男女共同参画をめぐる地元公司や狈笔翱?狈骋翱等市民セクターとの连携强化は、大学のもつ力を社会に开いていく重要なチャンスであるとともに、大学の活力を高める契机になるはずです。
- 政府?文部科学省との连携
- 京都府?京都市との连携の强化
- 公司等との连携の拡充
- 狈笔翱?狈骋翱等の市民セクターとのネットワーク形成と连携
7. 国際的な連携の促進
男女共同参画=ジェンダー平等は、今や国际社会の最も重要なアジェンダのひとつです。各国の大学でのジェンダー研究やジェンダー施策をめぐる动向を的确に把握するとともに、この问题について本学から积极的な発信をしていくことが求められます。
国连机関を始めジェンダー问题をめぐる国际的な机関との连携やジェンダー研究?ジェンダー政策をめぐる国际的なネットワーク形成も、今后の京都大学の発展にとって大きな意义のある活动になるはずです。
- 男女共同参画=ジェンダー平等についての国际的な大学间の情报交流の推进
- ジェンダー研究の国际的なネットワーク形成
- 国连机関等国际机関との连携の强化
推进体制について
男女共同参画のアクション?プランの策定に伴いこのプランを推进する机関の设置が必要になります。
そのためにはまず现在设置されている男女共同参画推进事务室をより一层整备?拡充することが求められます。
また、现在すでに设置されている女性研究者支援センターを、女性研究者问题を中心にした机関から、男女両性を対象にした男女共同参画センターへと発展させることが必要であると考えます。このセンターでは、これまでの女性研究者支援の活动を一层押し进めるとともに、ジェンダー研究部门を併设することで、ジェンダー研究の国际的拠点とするとともに、学内外のジェンダー研究者の情报の交流やネットワーク形成、さらに学内外でのジェンダー教育の组织的运営の场として活用することが有効であると考えます。
以上のような学内における男女共同参画の推进状况をチェックし提言机能をもつ男女共同参画委员会の设置も必要になります。
さらに、本学における男女共同参画の现状把握と问题発见のために、京都大学男女共同参画白书の定期的な発行を準备することも求められます。
- 男女共同参画推进事务室の拡充?整备
- 男女共同参画センターの设置?拡充
- 男女共同参画推进委员会の设置
- 男女共同参画白书の発行