尾池 和夫
生存基盘科学研究ユニットとして初めての成果报告会の开催、おめでとうございます。ユニットが、设立以来2年を経て、顺调に多岐にわたる研究成果を出しておられる様子を拝见し、大変心强く思っております。具体的な成果は、本日の研究报告を通じて明らかとなり、その中で评価されることになると思いますが、まずは顺调にユニットとしての研究活动が展开されていることをプログラムを拝见して、私の期待したものが着実に実现されていることを感じます。この成果は特にユニット设立およびそれ以来の関係者である松本理事、井合初代ユニット长、関係する5研究所を始め、多くの関係者のご努力の赐物であり、深く感谢いたします。
京都大学は国立大学でも最多の附置研究所群を拥しており、特に宇治キャンパスには防灾研究所、化学研究所、エネルギー理工学研究所、生存圏研究所の4つの研究所があってそれぞれ活発に独创的な研究を行ってまいりました。これに东南アジア研究所を加え、人类の生存に関わる地球规模の问题を学际的に研究し、解决を目指す新しいタイプの研究组织として、生存基盘科学研究ユニット、(构想当时は研究院)を设立するまでにはかなり绵密な概念検讨と準备の期间がありました。その中で、「自由の学风を継承し、発展させつつ、多元的な课题の解决に挑戦し、地球社会の调和ある共存に贡献する」という京都大学の基本理念を体现し、また「京都学派」という言叶に代表されるような、个别学问の枠にとらわれない、分野を超えた「知の融合」を目指す言叶として、この「生存基盘科学」という概念が生まれ、具体化のための検讨が行われてきました。生存基盘科学研究ユニットの设立により、この言叶は実际に新たなタイプの学问として成立し、このユニットの研究活动によって実体を与えられてきたわけです。実际、昨今の地球环境问题や、原油価格の高腾に见られる资源エネルギー问题、频発する大灾害など、复雑に络み合う21世纪の人类の生存を胁かす问题は、文字通り「生存基盘」を支える新たな学问の必要性を示唆しており、私たち京都大学の目指してきたものの正しさ、重要性を改めて认识させることとなっています。
この研究ユニットの活动はまだ绪に就いたばかりであり、取り组むべき课题は山积しております。今年度から认可予算により自主财源を得て「サイト型机动研究」が开始されるのはまことに喜ばしいことです。ユニットの研究计画と财政の自立を示すばかりでなく、生まれたばかりの「生存基盘科学」を机上の空论ではなく、现実の社会と环境で実践する一方、そこから学び、学问として昇华するという、「生存基盘科学」のコンセプトを具体的に示していただきたいと思っています。この21世纪型の新しい研究スタイルを身をもって示すという计画がこの研究所群の连携から生まれてきたことは、「生存基盘科学」の学问としての真の确立を示すものと思います。ぜひとも、地域社会や产业界との连携のうちに、京都大学の示す新たな「知のスタイル」を実証していただきたいと期待しております。
次にユニットの目指すべき方向として、なお2つの视点からの期待を付け加えさせていただきたいと思います。第1は国际的な视点です。それぞれの研究所、研究者が极めて広范な世界的活动をされていることは十分认识しておりますが、京都発の総合科学としての「生存基盘科学」は、とくにアジアなどの途上国においては、具体的に「持続可能な発展」の方法论に视点を与えることで真に人类の问题を解决する力を得ることになるでしょう。第2は、教育の视点です。これはもとより、各研究所において「研究を通じた教育」として効果的に行われては参りましたが、この生存基盘科学の総合的学际研究の概念は、まだ教育活动として十分な取り组みは行われていないという见方もあります。2年前の组织発足の际にも申し上げたことではありますが、ぜひとも、学生の目线から见た立场で、宇治キャンパスの研究?教育活动において、このユニットが新风を吹き込んで下さることを期待しております。
京都大学の研究所群は、その辉かしい成果に安住することなく、常に新しい概念と方法论を世に示すことで、わが国ばかりでなく、国际的にも新しい「知の地平」を切り开いてまいりました。この生存基盘科学研究ユニットは、时代と社会の要请にこたえる大学の姿を具体的に示す贵重な例であり、国际的に见てもこれからの大学の进むべき新たな方向を示唆するものと考えます。ユニットはこれからが本当の胜负どころです。このユニットが新しい学问のあり方、キャンパスのあり方を世界に示す场に発展することを愿って、开会の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。