宇宙航空研究開発機構 連携協力協定締結式 挨拶 (2008年4月21日)

尾池 和夫

当日の様子宇宙航空研究开発机构との连携协定の缔结にあたり、京都大学を代表して、関係の方々のご努力へのお礼と、ご挨拶を申し上げます。

21世纪に入り世界は、政治、経済、人间の生き方が大きく変貌を遂げつつあり、とりわけ、文明の急速な発展に伴う地球的规模の気候温暖化や、文明间の争いは、人类の生存そのものを问いかける、喫紧に解决すべき人类全体の课题となっています。

一方、1957年の人类初の人工卫星(スプートニク1号)、1970年の日本初の人工卫星(おおすみ)の打上げ以降、数多くの人工卫星がわが国でも打ち上げられ、地球そして宇宙の理解が进みました。また、先日、土井宇宙飞行士が活跃しましたが、宇宙ステーションの完成が近づきつつあり、人类の生存圏が宇宙へも拡がりつつあることを强く意识する时代になってまいりました。

先に述べた多様な人类の诸课题を解决し、人类生存圏を宇宙という场に拡げていくためには、宇宙という共通の课题を持つ、特徴ある机関间での共同研究?事业などを通じた连携が必须となります。

京都大学と、日本の宇宙航空开発研究を牵引してこられた宇宙航空研究开発机构は、连携协定に向けて、準备を进めてまいりましたが、本日、4月21日にめでたく调停式を迎えることができました。

京都は天文学1000年の故郷です。平安時代の最も有名な陰陽師の一人である安倍晴明の次男 吉昌が星の大爆発を観測しました。それは約1000年前のことで、藤原定家の日記「明月記」に記録されております。その後も京都では、天文の観測が脈々と引き継がれ、京都大学の天文学に到るのです。いま私たちがその記録の場所を宇宙に配置されたX線望遠鏡で観測すると、大きさにして数十光年、温度が千万度もの巨大な火の玉が見つかります。現代において、このX線による観測を可能にしたのが、宇宙航空研究開発機構と京都大学が連携協力して開発した「すざく」等の天文科学衛星です。

一方で、人类の生存圏が宇宙へも拡がりつつある中で、宇宙に関する研究は宇宙理工学に限定されるべきでなく、融合的?学际的な视点が必要となります。すなわち、宇宙医学、生命科学、薬学、农学、情报学、エネルギー科学、环境科学等の分野、さらに、宇宙文明论、宇宙法、宇宙保険等の人文社会系の分野をも含めた研究の土壌を作り込んでいくことが重要と考えられます。

このたび、両机関がそれぞれの特徴を生かした连携活动を行うことにより、宇宙をキーワードとする学术そしてプロジェクトを大きく进展させ、人材交流?育成を推进するために、连携协力に関する基本协定の缔结を行いました。

终わりになりますが、これからも良きパートナーとして、研究协力、人材交流などさまざまな面での交流が活発化することを愿ってご挨拶といたします。