船井 哲良記念講堂、船井交流センター竣工祝賀会 挨拶 (2007年10月20日)

尾池 和夫

尾池総長船井 哲良社長は、一代で会社を築き上げ、いまなお強いリーダーシップを発揮して事業拡大を続けている経営者として知られる方です。起業のエピソードには、感動的な場面がたくさん出てきます。

そして、自社の技术への强い思いがあり、本业以外の分野にはまず手を出さないという信念をお持ちのように私には思えます。

りっぱな施设をご寄赠いただき、こころからお礼を申し上げます。

船井様は、他にもたくさんの社会贡献をされています。例えば、船井情报科学振兴赏、船井情报科学奨励赏というような奨学の制度があります。たくさんの受赏者が研究に励んでいます。21世纪になってすぐ设立された财団法人船井情报科学振兴财団が运営しています。情报技术に関する履修又は研究を行う外国人留学生に対する奨学金もあります。

船井様は、日本の现状で、限られた研究费で研究を続けている研究者が多く见られ、优れた研究者が必ずしもすぐに报われる现状ではないということを気にしておられます。

その奨学金の授赏式では、私はチャップリンの言叶を引用して、ご挨拶申し上げました。「人生に必要なものは、勇気と想像力とほんの少しのお金だ」という言叶です。

今日は、违います。ほんの少しなどというものではありません。人材を育てるには、场所と资金が必要です。その両方を大规模に提供してくださる方がいて、はじめて大学の活动が进むのです。

当日の様子 
80歳で现役社长という船井电机社长?船井様の「终わらない挑戦」という本が出版されました。その本には、数々の荒波を、不屈の闘志と柔らか头脳の発想で乗り越えてきた船井様の人生が描かれています。その本は、「経営の教科书」と言われていますが、同时に人生の分かれ道に立って迷う若者への指针でもあるという绍介もされています。

讲堂の壁には、このキャンパスのある西山の竹林の揺らぎがデザインされ、见事な音响効果を持っています。すくすくと伸びてたいへん强く育つ竹のイメージで、今日の祝贺会のお土产には竹のカップを用意させていただきました。

船井様からご寄赠いただいたこの施设が有効に活用されるよう京都大学としてこれからさまざまの工夫をしていきたいと思っています。

すでに、10月18日には、船井 哲良記念講堂オープン記念として、この講堂で加古隆さんのピアノコンサートを開き、昨日は講演会が開催されました。この催には、たくさんの企業から協賛をいただき、学生さんたちも地元の方々も加古隆さんのファンの方々も企企業の方々も、多くの方々が音楽の世界を楽しんでくださいました。

世界で活跃する人材を辈出するために活かされるのはもちろんですが、いずれこれらの施设が地域の住民の皆様にも活用していただけるよう工夫していきたいと思っています。

京都大学の教育、研究、社会貢献の活動に、今後とも皆さま方のご理解とご支援を賜りますようお願いし、あらためて船井 哲良様のご厚意に感謝して、京都大学を代表して私のご挨拶といたします。ありがとうございました。