尾池 和夫

今年は、この会に、3月でご退职の教授、59名の皆さまをお招きいたしました。ご定年でご退职の方も多く、まことにおめでとうございます。
新制大学ができた1947年の平均寿命は男性50.06歳、女性53.96歳でした。2005年では、男性78.53歳、女性85.49歳です。男女共同参画社会の议论の中には、子育てした分だけ教员の定年を引き上げるという考えもあるようです。
厚生労働省日本人平成17年简易生命表では、63歳の男性で、平均余命19.66年です。女性は24.93年です。
京都大学の大先輩である日野原 重明さんの提唱する「新老人の会」では、75歳以上が入会資格で、現在4,300人ほどの会員がいるそうです。この会では、60歳以上で、ジュニア会員になることができるといいますので、私も、皆さまも、ジュニア会員の資格があります。
何はともあれ、お体に気をつけられて、ますますお元気にご活跃なさることをお祈りします。
世界でご活跃になる先生方には、昨日から総合博物馆で始まった、「地図出版の400年-京都、日本、世界-」をご覧いただきますよう、おすすめ申し上げます。
内阁府が実施した社会意识调査の结果が3月31日に発表されました。その中で、「悪い方向に向かっている」と思う分野の复数回答で、「教育」が前年より大きく増えて36.1%になりました。「医疗?福祉」がやはり増えて31.9%、「地域格差」が増えて、26.5%です。「治安」「外交」が减りました。この倾向は、大学に関係する施策にも大きな影响を与えることになると思います。
京都大学も今年は20年度に行われる评価に向けて、第1期中期目标期间のいわば実质的な仕上げの年にしなければなりません。それに続いて评価のためのデータをまとめていくことが必要で、大学の教员が本来の教育と研究と医疗の活动以外に、たいへんな时间をそれに割かなければなりません。先生方は、実にいいタイミングでご退职であります。私は法人化のときも、今回もタイミングを失してしまって、実に残念な思いです。
大学の有能な人材のエネルギーを、本来の教育と研究、あるいは医疗に全力で注ぎ込めるような制度にしなければ、本当にもったいないと、私は思っています。また、教育という长期の视点で取り组むべき课题を、せっかちな议论で、がたがた変えたりするとろくなことはありません。皆さま方の、高等教育に対する、また京都大学に対するご支援を、今后ともよろしくお愿いして、私のご挨拶といたします。
今年は卒业生に和歌山研究林の間伐材の端材で作った祝い箸を贈りました。「はし」は先端を表す「端」に通じます。世界の先端をリードしてきた先生方にも、その見本を差し上げたいと思います。
本日は、まことにおめでとうございます。