尾池 和夫
京都大学大学院エネルギー科学研究科の创设とエネルギー理工学研究所改组の10周年记念式典ならびに记念祝贺会を挙行するに当たり、京都大学を代表して一言お祝いを申し上げます。
京都大学が基本理念を制定したのは、平成13年のことです。そこでは、「京都大学は、创立以来筑いてきた自由の学风を継承し、発展させつつ、多元的な课题の解决に挑戦し、地球社会の调和ある共存に贡献するため、自由と调和を基础に、ここに基本理念を定める。」と始まっています。本日10周年を迎えた両部局は、それよりも前に、平成8年、人类の生存に必须のエネルギーの分野で、今の京都大学の基本理念の趣旨を含んで、大学院独立研究科と研究所を発足させました。この独立研究科は京都大学では初めての学部を持たない研究科でありました。今、エネルギーの课题にはさまざまの厳しいものがありますが、诚に时宜を得た、また京都大学の基本理念を先取りした発足でありました。
人类の存在を支えるこの地球の豊かな自然は、太阳エネルギーの恵の下にあります。エネルギーは生物存在の最も根源的なものです。しかし、エネルギー问题の现状は楽観的なものとは到底言い难く、化石エネルギーの枯渇は时间の问题とも言われ、水力発电、地热発电の开発にも限りがあり、一方原子エネルギーの利用は安定期に入ったとはいえ种々の问题を抱えています。
太阳エネルギーなどの所谓再生可能なクリーンエネルギーの开発はまだ不充分であり、究极のエネルギーといわれる核融合エネルギーが利用段阶に入るのは今世纪半ばと言われます。その一方で、人类全体で消费するエネルギーの総量が、地球环境全体を胁かすスケールになるのもそれほど远い将来のことではないと考えられます。先进国におけるエネルギー需要の増大する量は、効率的エネルギー利用による节约の量を越えており、発展途上国のエネルギー需要は爆発的に増大しつつあります。21世纪以降の人类の持続可能性は、エネルギー问题の解决にかかっていると言えるでしょう。
このような认识のなか、将来におけるエネルギー问题に関する全般にわたっての解决と、先端的科学技术発展のためのエネルギー利用の高度化の研究?开発を目指して、工学部物理工学科エネルギー応用サブコースを母体に、地球工学科并びに工业化学科、理学部、农学部、経済学部などの多岐にわたる学问分野を结集させ、更には原子エネルギー研究所から2部门、へリオトロン核融合研究センターから2部门を加えて、京都大学で最初の独立研究科として、大学院エネルギー科学研究科を创设し、併せて、车の両轮の片方として原子エネルギー研究所并びにヘリオトロン核融合センターを、エネルギーの生成、変换、利用の高度化の研究?开発を目的とする、エネルギー理工学研究所に転换?统合することが、当时の井村総长を委员长とする「京都大学将来构想検讨委员会」で検讨され、エネルギー科学研究科の创设并びにエネルギー理工学研究所の改组の実现へとつながったわけです。
以来10年、エネルギー科学研究科とエネルギー理工学研究所は车の両轮として创设理念に基づいた教育?研究活动を展开し、国内外から注目される数々の优れた成果を上げ、また1,000人を优に超える博士?修士学位取得者を辈出し、大きく発展しつつあることは、京都大学総长として夸りとするところです。
特に、平成14年度に始まった21世纪颁翱贰プログラムでは、エネルギー科学研究科とエネルギー理工学研究所、および生存圏研究所が合同で提案された、「环境调和型エネルギーの研究教育拠点形成」プログラムが採択されました。これは採択数113件のなかで最高额のプログラムでした。そこでは、环境调和性の高い未来エネルギーとして、太阳エネルギー、水素エネルギー、バイオエネルギーを取り上げ、それらの発展のための基础学理の究明と研究开発を行うとともに、各种エネルギーシステムの环境调和性や社会的受容性を総合评価するための方法论や评価システム、関连データベースの构筑を行う环境调和型トータルエネルギー评価、また教育拠点形成では、高い専门性と総合性を备え、国际的に活跃できる次世代の人材を育成するための教育组织?教育体制の构筑を鋭意进めております。併せて国际情报エネルギーセンター事业として、海外研究拠点の设置、国际エネルギーシンポジウム及び国内シンポジウムの开催、エネルギー环境调査、产官学连携事业、広报事业を大きく展开しております。
エネルギー科学研究科では、平成17年度から、文部科学省の「魅力ある大学院教育」イニシアティブ事业で、「学际的エネルギー科学研究者养成プログラム」が採択され、现在その课题を推进しています。このイニシアティブ事业では、21世纪の国际社会の喫紧の、エネルギー资源の确保や环境问题を中心とした人类の生存にかかわる様々なエネルギー?环境问题に対して、文系と理系の融合による幅広い国际性と深い専门性をもって社会の要请に応えるとともに、自然环境と人间社会との调和を図りながら、创造性と活力にあふれる21世纪社会をリードする若手研究者の育成に努めておられます。
また、エネルギー理工学研究所においては、平成10年度には10年計画で、韓国ソウル大学と共同で、日本学術振興会の日韓拠点大学方式学術交流事業を実施し、毎年300人近いエネルギー関連分野の日韓の研究者交流、共同研究を主宰すると共に、平成15年11月には21COEバンコクオフィスや、タイ国 ラジャマンガラ工科大学内に共同研究施設を設けるなど、海外との協力事業でも積極的な事業展開を推進しております。
さらに、エネルギーにかかわる国の大型研究事业にも积极的に参画され、既に多くのプログラムを受託、実施されており、多くの成果を出しておられます。また最近新たに大きな文部科学省の受託事业を実施されるなど、エネルギー理工学研究所はこの10年の间で基盘分野としてのエネルギー分野で大きな実绩を挙げ、エネルギー研究拠点として国际的に知らております。
エネルギーと环境の问题の解决は、人类の持続的な発展に最も重要な课题であります。今后とも、エネルギー科学研究科とエネルギー理工学研究所が、お互いに密接に协力しながら、教育と研究の活动を通して益々ご活跃になり、国际社会に大きく贡献していただくことを心より期待して、挨拶の言叶といたします。
10周年の记念、おめでとうございます。
ありがとうございました。