尾池 和夫
探検大学の将来像

探検大学と呼ばれた京都大学の登山と探検の歴史は、1965年に東南アジア研究センター、67年に霊長類研究所、86年にはアフリカ地域研究センター、 91年には生態学研究センターと実を結び、97年に総合博物館、98年にアジア?アフリカ地域研究研究科、2003年にフィールド科学教育研究センター、 06年地域研究統合情報センターの発足と、今も次つぎに姿を整えている。一方、学外でも例えば南極観測などに見られるような京都大学の研究者の活発な活躍がある。
これらはいずれもフィールドワークを特长をする京都大学の伝统を活かして生まれた、世界に夸る教育と研究の场である。その伝统は京都大学のあらゆる分野に浸透し、その成果は多くの着作物となって公开されているが、同时に、厖大なフィールドノート、资料、标本、映像、音声などの记録が残されている。その中から特に映像资料に焦点を当ててその保存を考えるのが今日のこの企画に期待している役割である。
映像の记録は、世界を时间と空间の座标の上で切り取ることによって得られる。研究者の眼は宇宙をさまざまの眼で観ている。时间轴に沿って私たちは自分の生い立ちをアルバムに记録する。调査を展开してある课题で现象の地理的分布を知る。そして时间空间の座标の中で世界の変化を観察する。地球科学はあらゆる可能な手段で、人工卫星を打ち上げ、あるいは深海掘削船「ちきゅう」を建造して地球を観察する。宇宙物理学は、可视光のみならず、あらゆる手段で宇宙を観る。赤外线で、齿线で、电波で観る。あるいは重力波を検出する。そして、ブラックホール、ダークマター、ダークエネルギーというように未知の问题を考える。
このように、探検大学の异名を持った京都大学の伝统は、学问のあらゆる分野で、人类の财产と言える映像を记録していくのである。それらの记録をだれでもが见ることのできる仕组みを整えていくことも、京都大学の社会贡献の重要な部分であると思っている。