尾池 和夫

生存基盘高等研究院オフィスの开所式にあたり、大学を代表して、お祝いを申し上げます。
私たちは、「自由の学风を継承し、発展させつつ、多元的な课题の解决に挑戦し、地球社会の调和ある共存に贡献するため、」という表现で、京都大学の基本理念を定めました。生存基盘という言叶は、まさしくこの基本理念の序文に直接関係する重要な概念であります。
京都大学の教育と研究の最近の歴史では、1990年代の独立研究科の导入、大学院部局化の进展とともに、京都大学の创立100周年を迎え、21世纪を迎えました。
この生存基盘という言叶が、宇治キャンパスを中心によく闻かれるようになったのは、比较的最近のことです。
宇治キャンパスの市民への公开は1997年度から始まりました。宇治キャンパス公开2002では、讲演会が「人类の豊かな未来のために」という题で行われておりました。宇治キャンパス公开2003は、?人类の生存基盘を探求する情报科学?を统一テーマにして、金曜日午后から土曜日全日の公开となりました。
2004年4月には、国立大学法人法の规定により国立大学法人京都大学が京都大学を设置し、木质科学研究所と宙空电波科学研究センターを统合して、法人として初めての独自の判断で、生存圏研究所に改组しました。

2004年度末にまとめられた生存圏研究所の自己点検?评価报告书には、「さらに研究领域を拡充することが议论され、生存基盘科学総合研究所へと発展して行くことが期待される」とありました。
2005年の化学研究所のニュースレター「黄檗」を読みますと、高野先生、松本先生、高田事务部长の鼎谈があり、「教育と研究、大学は何を目指すべきか」というような议论がありました。研究所が、大学生、大学院生の教育、社会人の教育に大きな役割を担っているのは、もちろん谁もが认めるところですが、学生の目线から见て、今、その制度の整备が必要とされていると私は思っています。
京都大学の研究所は歴史的に见ても、现状を见ても、全国的に大きな役割を果たしてきました。全国共同利用研究所の制度も京都大学に初めて导入されて始まりました。
2005年3月9日に「生存基盘科学の创成に向けて」という、附置研究所の将来像についてのシンポジウムが宇治で、学内研究者、学外国立大学法人研究所、及びセンター所属研究者を対象に开催されました。そこでの挨拶でも申し上げましたが、京都大学で、异なった研究目的を持つ研究所群が集まって行事をすること自体が大変珍しいものでした。また、そのシンポジウムの副题が「生存基盘科学の创成に向けて」となっていて、これからの大きな目标のもと、人类の福祉に贡献しようという理想を追求するものでした。
また、今年、3月16日(木曜日)には、京都大学の附置研究所?センター主催のシンポジウムを、今度は17の研究所と研究センターが合同して、开催します。この时には、10时から17时半にわたって、东京の品川インターシティーホールを会场として、「京都からの提言―21世纪の日本を考える」という、しかもその(第1回)として开催されます。サブテーマは、「危机をいかに乗り切るか?」「东アジアといかに向き合うか?」となっています。

このように、京都大学の研究所群は、その辉かしい成果の蓄积をもとに、さまざまの可能性を秘めながら、新しい时代へ大きく羽ばたこうとしているのであります。その中の一里塚として、今日の生存基盘高等研究院オフィスの开所式を位置づけておきたいと私は思います。
2005年10月からは、松本先生に理事にご就任いただき、财务などとともに、宇治キャンパス担当としてお愿いしました。大学の重要事项の一つとして、この生存基盘の教育と研究の拠点を、全学的な视野のもとに确立していってほしいと愿っています。この计画に参加される皆さま方のご活跃を祈り、またこの开所式にご参加の内外の方々に、ご支援をお愿いして、私のお祝いの言叶といたします。
おめでとうございます。