京都大学教育研究推進本部ならびに経営企画本部銘板除幕式 挨拶 (2005年11月29日)

尾池 和夫

尾池総長

 京都大学は、その基本理念をもとに、国际社会に向かって大きな社会的役割を持つ大学です。私はこの大学の使命を、最近、教育と研究と医疗ということばで表しています。医疗ということばは、社会へのサービスの一つの具体的な姿のつもりで使っています。

 大学は社会に向かって透明な组织であり、市民にその姿が见えていなければなりません。少しでも见えやすいようにする仕事が、大学の职员の仕事であります。そのことを考えていただくために最近私が経験した事例を二つ绍介します。

 一つの事例は、大学院生からの质问です。先生は饮食関係を専门としているのですか、という质问でした。もちろん、おいしいものを食べるのは好きですが、それが専门ではありません。新闻を通じてだけでは、全体がなかなか见えないのだろうと思い、いろいろの仕事があることを説明しました。

当日の様子

 もう一つは、东京で开催した滨滨翱フェアのときです。私は东京まで行ってこの产学连携のための行事を盛り上げなければならないと思って一所悬命话しました。后で、会场にいた二人の方からご意见をいただきました。その一人は名誉教授であり、京都大学は基础研究を大切にする大学で、产学连携ばかりやっていてはいけないというご注意でした。もちろんこれは当たっていないわけで、当然基础研究を重视する方针を话しました。

 大学には、学生と教员と职员と役员がいて、どれを除いても成り立ちません。その中で、今述べた二つの事例が示すように、教员の中にも、学生たちの中にも、大学の一面だけを见ている人がいることが分かります。

 学习している最中でとまどっている学生たちと社会をつなぎ、また、研究に热中していてときには市民の目を忘れることもある教员と社会をつなぐ、その重要な役割を持つのが职员の存在でなければならないと私は思っています。言い换えれば、职员は大学と市民社会の间の、重要なインターフェースの役割を持っているのであります。また、职员は学生と大学の、あるいは大学と教员のインターフェースでもあると思います。

教育研究推進本部、経営企画本部

 その役割が见えるように、建物の名称を本部栋として、そこにあるおもな机能を、教育研究推进本部と、経営企画本部という二つの本部の名前に表し、少しでも具体的な姿が见えるようにしたのがこれらの铭板であります。

 ここで仕事をする职员の一人ひとりが、京都大学の持つ使命を见つめ、その中での自分の使命を具体的に考えて仕事をしていただくよう、そして常に自分の仕事を见直し、勤务时间内に仕事を终える工夫をして、仕事の具体的な改善方向を常に积极的に提案していくような毎日を、これらの本部で过ごしてほしいと愿っています。そして何よりも学生と市民を见つめて仕事をする、健康で明るい职员でいてほしいと愿っています。

 この除幕式が、京都大学の教职员が皆で、さらに合理的な仕事の仕方を考え、协力して効率よく仕事のできる职场を作り上げるよう、また、さらにサービスの质を向上させることができるよう、今后とも事务改革を进めて行く契机となり、その出発点となることを愿っています。

 ありがとうございました。