尾池 和夫

京都大学の职场で働く教职员の皆さまが集まる「京大职场フォーラム2005」の开催にあたり、ひとことご挨拶させていただきます。お招きいただいて、たいへん光栄に存じます。
「ちょっと立ち止まって、京大の未来を考える」という副题がついておりますが、12月の予算原案の决定に向かって、事态はどんどん厳しい方向へ向かっており、今、财务省と文部科学省の间では激しいやりとりが毎日続けられていて、ちょっと立ち止まると、たちまち科学技术関係の予算が减り、教育への予算が减り、国立大学への交付金が减っていくというような事态になっています。とりわけ3%のシーリングが科学技术や教育にまで影响を及ぼす事态が悬念されます。
そのような状况の中での、11月に入ってからの私の日程をたどって、参考までに报告します。
2日、东京で、教员の任期制の导入状况を议论しました。大规模な総合大学で、大きな割合で任期制の教员が増えていることがわかりました。
7日には长崎で、国立大学协会の総会があり、その机会に文部科学省の方たちとの恳谈会がありました。国立大学の入学金の改定が议论されているという説明がありました。また、施设整备の交付金がほとんどない状况に対して、私立大学の施设整备费が寄附でまかなわれている状况を考虑する説明がありました。また、昨年の授业料标準额の改定に伴って交付金は减っていないはずだという説明がありました。

5日、京都大学上海センターシンポジウム「日本を追い抜くか-急成長する中国自動車産業-」の開催に挨拶をさせていただき、そこで、全国大学高専教職員組合(全大教)の中央執行委員長である大西 広さんにお会いする機会がありました。このシンポジウムの挨拶では、中国での交通事故、都市計画、環境などの問題も、自動車産業の急速な発展とともに大きな課題となるであろうということ、中国では車だけではなく、あらゆる分野での急激な成長が見られ、大学も同じだということなどを話しました。
10日、京都赏の授赏式の日ですが、叁省堂が「现代俳句界の総力を结集して诞生した」とする「现代俳句大辞典」を出版すると闻いて生协に予约してあったのですが、现物が手元に届きました。さっそく中味を読んで书评を书きました。その中に、私の好きな句の鑑赏を入れました。次の句です。
かの鹰に风と名づけて饲ひ杀す &苍产蝉辫;正木ゆう子
国立大学の法人化を进める段阶では、文化と伝统を守り育てる大学を法人化して効率化し、规制をはずして、风を切って大空を飞ぶ鹰のように、のびのびと世界に羽ばたける大学にする、というような印象を与える説明が行われていました。盖を开けてみると、诸规制はそのまま、基盘的経费の交付金など、あの手この手でどんどん减らされ、蓄积した文化を守る力まで失いかねない方向へ施策が进められています。

长い歴史の中で育てられた文化を破壊してしまうと世界の信用を失ってしまいます。そうならないように、京都大学は国公私立大学と连携しながら、理想とする教育と研究と医疗の実现に、自力で顽张らないといけないと思います。そんな気力を与えてくれるのが、この句であります、というようなことを书评に书きました。
11月12日には、広岛で、楠の写真を撮りました。
14日、山猫共和国驻日大使の、せ川みつを(瀬川満夫)さんから、「九条せんべい」をいただきました。京都大学の教员が仙台に行ったとき、これを京都大学の総长に渡してくださいと、预かってきてくれました。そのせんべいには、日本国宪法第九条が焼き付けてあります。『「平和の味」をかみしめて、ご赏味いただけたら私たちの喜びです』とメッセージが添えてありました。长崎、広岛を访问した直后に、また、原子爆弾を投下したアメリカ合众国と日本の会谈が京都で行われる直前にいただいたので、感慨もひとしおでありました。
日本国宪法の第9条を読みながら、そのせんべいをいただきました。第12条で、自由を守る不断の努力が必要なことを、あらためて认识し、第23条の「学问の自由は、これを保障する」というところまで、せんべいをかじりながら読みました。

17日、鸟取へ行く朝、「改革を止めるな」のポスターが6枚并べて贴ってあるのを见ました。そこに小学生と思われる子どもたちが立っていて、ポスターの一枚は、止めるなの「な」の字が子どもに隠れて见えなくなっていました。「改革を止める」と読めました。もう一枚は、「る」の字の下の○の部分から下が隠れていて、「改革を止めろ」と読めました。それを见て、大量得票を背景に进められている政策でも、悬命な市民の见识と、贤い市民の行动によっては、政策を大きく変更させることができる可能性を示唆しているのかもしれないと思いました。ポスターのある场所も、ちょうど九条でした。
とりとめもない近况报告になってしまいましたが、今日の皆さまの职场フォーラムでの讨论が、京都大学の未来に向かって、真に実り豊かな成果をあげるであろうことを确信します。确信しつつ、私の周辺のできごとをお话しして、挨拶とさせていただきます。
ありがとうございました。