尾池 和夫

昨年4月1日に法人化して、职员の皆さんには、私は、失败をおそれない职员であってほしいとお愿いしました。役员会が决定権と责任を持つという制度になり、学生へのサービス向上を目指したものである限り、失败の责任は私が取るから、信じるところを実行してほしいとお愿いしました。それから早や1年、皆さんは京都大学を退职されることになりました。今日、この恳谈会には、定年退职と勧奨退职の方々78名、その他に20年以上の勤务の方々19名、合计97名をお招きしました。20年以上の勤务者の中には9名の非常勤职员がおられます。
法人化という変革の中で、皆さんには本当にご苦労いただきました。何よりもまずそのことに深く感谢いたします。法人化の仕组みにはさまざまな问题点も多く、完全に轨道に乗ったとはまだ言えないと思っています。しかし、皆さまのおかげで、京都大学はずいぶん顺调に新しい制度の中で仕事を进めることができました。これは教育と研究を支える职员の皆さんの支援があってこその进展であります。
今、法人化から1年というので、いろいろの机会にそのことが话题になり、シンポジウムが行われ、インタビューがあり、大学の状况や私の感想がたずねられます。朝日新闻社のシンポジウムでは、职员の公务员意识が强く残っていることを话题にしましたが、それに対してすぐに、若い职员から、学习会を开きながら京都大学のために顽张っている実例の绍介があり、このようなことをきちんと评価するようにという趣旨のご意见をいただきました。私はそれが本当にうれしく、たいへん心强く思い、感激しました。
このような意见がすぐに寄せられることこそ、私が昨年4月にお愿いしたとき描いていた京都大学の职员の姿でありました。先週土曜日には、大学コンソーシアム京都の京都高等教育研究センター设立记念シンポジウムで、やはり职员のことを质问され、このことも话しました。法人化1年の今、そのような话ができるのも、皆さんの今までの仕事の蓄积があり、皆さんによる后辈のご指导があってこそだと、あらためて皆さんのご努力に感谢する思いであります。
大学は零细公司の団地のようなもので、教员は一人ひとり异なる分野の仕事をしていて、学生はさまざまな分野の学习と研究をしています。大学の教育と研究を支える职员の仕事は、たいへん多様なものであります。今日の名簿を见ながら、退职される皆さん一人ひとりの仕事に思いを驰せるのですが、その多様性は今后もますます幅広くなっていくことと思います。

防災研究所の技術職員の方たちが、「技術室通信」という報告書を出していますが、その第70号(1998年3月25日発行)には、鳥取観測所の矢部 征さんが「97年度王滝村電磁気合同観測に参加して」という報告を書いておられます。教育研究のための施設が全国に展開しているのが京都大学の大きな特長ですが、そこでは特にさまざまな仕事があり、矢部さんは事務官として入ったのですが、観測や研究を支援する仕事を何から何までこなしてこられました。この報告のとき観測に参加したのは13大学から約30名、そこで、車の運転、ケーブル張り、穴堀りというような仕事があるのです。矢部さんは次のように書いています。
「観测は、比较的电车からの漏洩电流の少なくなる夜间に行われるので、昼间に点検、调整、バッテリー交换、タイマーセット等の準备を毎日各観测点を廻って行い、メモリーに収録された前日の夜间のデータを回収するというものであった」
とあり、さらに
「天候も良く、日毎に红叶も美しくなり、御岳山を眺めながら入った露天风吕、そしてめったに运転出来ないあの标高1,300尘の山道を毎日运転した喜びを感じながら10月21日王滝村を下山いたしました」
とあります。
矢部さんは今は技术専门职(掛长)ですが、あるときには出张して野外でのこのような観测の仕事もされました。このような仕事が、京都大学にあり、それがあってこそ教育と研究が进むのであります。法人化した国立大学の职务规程の中に、どのようにそれが反映されているかを今后もよく考えていかなければなりません。
本当に多様な大学の仕事の中の一例だけを、代表として绍介しましたが、それを皆さまのご苦労への感谢の気持ちの代表とさせていただきたく存じます。京都大学のために长い间ご努力下さったことに、京都大学を代表して深く感谢申し上げます。そしてまた、次の多様な人生を、お元気で楽しんでいただきたく思います。その中で、この京都大学を皆さんが育てたという思いで、また皆さんの母校だという思いで、いつまでも见守っていただきたく、よろしくお愿いいたします。
どうもありがとうございました。