尾池 和夫

京都大学医療技術短期大学部を卒業される看護学科82名、衛生技術学科42名、理学療法学科20名、作業療法学科14名、計158名の皆さん、また専攻科助産学特別専攻を修了される20名の皆さん、おめでとうございます。ご列席のご来賓、教職員とともに、またご家族とともに、心から皆さんの門出を祝福したいと思います。今日の皆さんで、卒业生は累計3830名、専攻科修了生が累計578名になりました。
2004年4月1日に国立大学法人京都大学が置かれ、その法人によって、医療技術短期大学部が、京都大学と並んで設置されました。その新しい制度のもとに、今日、初めての卒业生、修了生を社会に送り出すことになりました。
皆さんの辉かしい笑颜を拝见していて、これから社会に出て、力一杯活跃しようという心意気が伝わってきます。皆さんがこの学舎で今日まで学习を深めてこられた、その成果がいよいよ役立つときが来ました。その日を迎えたということを记念して、心からお祝い申し上げます。

この医疗技术短期大学部は、1975年(昭和50年)に设置され、今年で30年ですが、その前史は100年以上の昔にまで遡ります。1899年(明治32年)、京都帝国大学医科大学看护妇见习讲习科が开讲して、その歴史が始まったのです。医科大学と附属病院が开设されて看护妇を养成する必要ができました。そのとき、学生は入学と同时に各病栋に配属され、日给をもらって勤务しながら讲义を受けたそうです。実技の学习は、看护妇服务心得に基づいて、看护妇の规则がそのまま学生に适用されているものでした。それ以来、医学部と病院とともに、さまざまな変迁を経験してきました。
昨年4月、京都大学には医学部保健学科がスタートしました。その第1期生からは、すでにさまざまな声が寄せられており、教育者としてうれしい声があります。例えば、先生方が身近に感じられることに惊いたとか、学生のやる気に応えてくださる先生方がたくさんいるとか、将来の自分の选択肢が非常に広いと感じたとか、たくさんの先辈と知り合いになれたとか、さまざまな表现から有意义な学园生活が始まっていることがわかります。
これは、ひとえに、この医疗技术短期大学部での长年の教育と研究の积み重ねが、多くの先达によって行われ、皆さんの先辈たちが社会ですばらしい活跃を続けてきて、その伝统が活きているからこそ、新しい制度のスタートと同时に闻こえてくる声であろうと思います。皆さんも、ぜひ、その辉かしい伝统を、さらに発展させるよう、社会に出て活跃してほしいと思います。
日本の医学のレベルは高く、医疗の水準も世界のトップレベルに位置づけることができると言えるでしょう。医学の进歩は、人类に希望を与え、多くの人々の関心の焦点となるものです。そして先端医疗や生命伦理など、さまざまな课题を人类に与え、考えさせるものでもあります。
人类の幸福を目的とするのは、すべての学问に与えられた使命でありますが、医疗の分野は、中でも人々の目に见えやすい分野であり、人の幸せを目ざして进歩していく分野です。その医疗の分野で仕事をされる皆さんの役目は、直接的に人のために尽くすという、崇高な体験をしていると感じ取ることのできる分野でもあるのです。医疗人を志して入学し、学习を积み重ねた皆さんの活跃の世界は、大変幅の広いものであり、新しい医疗技术の先端を担うエキスパートとしての夸りのもとに、资质高く养成された人材として活跃できる场であります。
また、昨年のように大灾害が続いたときには、普段の勤务の场所から离れて駆けつけるというような场面もあるでしょうし、远い国であっても、その灾害の现场で活跃するというような机会もあることでしょう。

今までの皆さんの学习は、一般的な学问体系の中で整理された教育システムを生かして行われてきました。社会に出て、これからの皆さんの活跃する场では、患者という个别の人が対象となる现场であります。それは际限なく多様な世界であり、あるときには、どう対処していいのかわからなくなる场面も出てくることと思います。そのようなときにも沉着冷静に、知识を最大限に动员して正しい判断をするように日顷から準备し、心がけてほしいと思います。皆さん一人ひとりが対応する患者さんたちは、それぞれ多様な一人ひとりの人格であるということを、毎日思い起こしながら精いっぱいの活跃をしていただきたいと思います。
皆さんが、意欲に満ちた専门职として、医疗の现场で活跃されることを期待し、社会のいろいろな场所で活跃されることを祈って、私のお祝いといたします。
おめでとうございます。