尾池 和夫

みなさん、明けましておめでとうございます。
初めての「仕事始め」の行事です。昨年末は仕事纳めの行事も行わずに年末を迎えました。多くの方々は正味6日间の休养をとって、しっかり心身の充电をされたことと思います。年越しに除夜の鐘を撞く机会を持った方もいるかもしれません。あるいは鐘の音を故郷で闻いた方もおられることでしょう。
新年にあたり、いろいろ考えることもありますが、その中から选んで3つのことをみなさんに话したいと思います。
第1は歴史のことです。1897年に设置された京都大学の歴史は、2005年の今年、108年目に入ることになります。除夜の鐘が取り去るという108の烦悩と同じ数字だと思いながら、鐘の音を闻いておりました。108年というと长いようでもありますが、京都の老舗の歴史にくらべれば、あるいは世界の有名な大学の歴史に比べると、まだまだ短いとも言えます。
このような歴史を考えながら、昨年、ようやく京都大学同窓会準备室を设置しました。今まで、学部ごとに、あるいは教室ごとに、またゼミごとに、多くの同窓会が置かれているのですが、それらのゆるやかな连携组织を作って行きたいと考えています。皆様のご协力をお愿いしたいと思います。今年も、课外活动のクラブなどで100周年を祝うところがいくつかあるかもしれません。例えば、硬式庭球部が100周年のお祝いをすると闻いています。これらの同窓会も、また元教职员の同窓会もできるように连携していきたいと思います。
2番目に、今年は男女共同参画社会をテーマにして私自身が学习したいと思っています。京都大学では、このような取り组みがまだ遅れているように思います。例えば、京都大学の教职员や学生のために、保育所を増やす必要はないだろうかと考えてみます。学生や院生以外も利用できる「地域开放型」で、社会人学生のための福利厚生の充実が必要ではないでしょうか。生涯学习を课题とする以上、この问题を并行して考えることが必要だと思います。
社会人が大学院に入る倾向が强くなると、働いている夫妇の一方が大学院に行く事になるでしょう。そのとき保育所が必要になります。もちろん零歳児も受け入れ、保育时间を长くし、预ける侧が保育时间の长さを决めることができるというような工夫も必要になるでしょう。
このようなテーマで学习するための情报を、あるいは考え方をぜひ私に提供していただきたいとお愿いします。

3番目は、昨年7月20日に定めた京都大学の教職員像のことです。「京都大学の教職員は、京都大学の基本理念の下に、その将来像の実現にむけて、教育、研究、支援業務、大学?部局の運営のそれぞれにおいて自らの使命を自覚し、その職責の遂行に全力を尽くす」と始まっています。 これを一年の仕事始めの今日、席に戻ってもう一度よく読んでみてほしいと思います。
その最后は、「教育?研究を支援し、大学?部局を运営していく业务は、その持続的発展のために极めて重要である。教职员は、大学が社会的存在であることを认识し、高次の専门的能力と総合的视野をもってその职责を全うできるよう常に自己研钻に努め、教育?研究基盘の充実、大学?部局の円滑な运営と発展に寄与する」とされています。みなさん一人ひとりがその仕事を完璧にこなしていくためには、その仕事に必要な能力を身につけていなければなりません。そのための自己研钻であります。
高次の専门的能力を持つということは、みなさんの一人一人が私よりもよくできるということ意味します。仕事のことで、私に教えてくれなければなりません。私になるほどと思わせることが必要であります。みなさんの仕事からの提案を私は勉强し、みなさんの出す情报から私は正しく京都大学や社会の将来を読みとります。それが间违っていてはもちろん困りますし、単にインターネットのページから検索できるものであっても困るわけです。情报は生产する仕组み、伝える仕组み、蓄积する仕组み、検索利用する仕组みと受け取る人の理解力があって初めて意味をなすものであり、みなさんの仕事はそのような仕组みを受け持っているのです。
私は昨年の4月1日、法人化にあたって职员のみなさんに、失败をおそれない职员であってほしいということ、よく考えて信じるところを実行してほしいということ、アイディアを积极的に役员へ伝えてほしいということなどをお愿いしました。そしてそれをすぐ実行してくださった职员がいました。たいへんうれしく思いました。
その一方、昨年は途中で非公务员となって、いささか戸惑った方もいたようです。その戸惑いが実はたいへん重要なことであります。京都大学の自治はますます强化され、国からの交付金をもとにしながら、大学の意志によってさまざまなことができる制度になりました。戸惑いながら今までのしがらみに捕らわれずに仕事をしてほしいと思います。
一部ではあるでしょうが、法人化しても国家公务员精神を失うことなく、今までと同じように、担当の理事に话す前に文部科学省の担当者に相谈するという事例が见られたことも事実であり、それに関してはいささか私は残念に思います。今年はそのようなことのない一年であってほしいと思いながら、みなさんの仕事をしっかりと见守って行きたいと思っています。
また、新しい一年が始まりましたが、今年は正味一年が国立大学法人として运営する初めての一年になります。私は法人化してからの1年半をまず立ち上がりの期间と想定して、役员の任期を最初だけ1年半に设定しました。今年の9月末でその1年半が参ります。なるべく早くその次の段阶の见通しをつけてスムーズに次の期间へつないでいきたいと考えています。
今年も、まずはみなさん方がご自分の体をいたわって、健康な一年を过ごすことに心がけていただきたいと思います。その上で、力一杯仕事をする、そういう一年であってほしいと愿いつつ、私の新年の挨拶といたします。