総合博物館 Roland Barthesデッサン展内覧会 (2004年1月13日)

尾池 和夫

本日は京都大学総合博物馆で明日から予定されておりますロラン?バルトのデッサン展の内覧会に多数お越しいただき、ありがとうございました。ロラン?バルトは现代フランスを代表する哲学者であり评论家であります。より正确に言えばその着作『记号学の原理』などで知られる记号学者であり、また文学理论家です。けれども、バルトの残した业绩は一定の枠组みには当てはめることの难しい、多领域にまたがる独自のものと言えます。1950-60年代に华々しく登场したバルトは、以前から闭塞状况にあった人文科学にあたらしい视点をもたらしたことで、いわば知の変革を引き起こした人物です。

バルトはフランスにおける学问の殿堂であるコレージュ?ド?フランスで长く教鞭を执りましたが、毎日暇を见つけてはピアノを弾き、絵を描く芸术家でもありました。国立サントル?ポンピドゥーからお借りした49点のデッサンは、そのような现代的な思考と感性の一端を见せてくれます。また日仏合同のシンポジウムも企画されています。

现在京都大学は、国立大学の国立大学法人への移行の时期にあたり、いろいろな难しい问题をかかえています。さらには现代の揺れ动く国内外の情势の中で、真に未来を志向する学问とはどうあるべきかが问われている时でもあります。

ロラン?バルトが、その色を使った独特のデッサンに见られるような自由で斩新な発想を生かしてエクリチュールとテクストの概念を一新したことは、われわれの学问の改革にもいくばくかのヒントを与えてくれるものだと思います。

バルトは60年代の初めに日本を访れ、この京都にも滞在し、讲演をしてくれました。この日本滞在がきっかけになって、『记号の帝国』という着书をあらわしたことはみなさまもご承知のとおりです。今でも読み継がれている独特な日本论であります。それから40年の时を隔てて、このたびそのデッサン展が私どもの総合博物馆で开催されることは、たいへん意义深いことと考えます。

今回の展覧会に関し、カタログ制作をはじめ主体的に活动していただいた関西日仏学馆、东京大学、京都大学の関係者の方々に深く感谢申し上げ、私のあいさつといたします。