京大の「実は!」痴辞濒.27 「京都大学防灾研究所『宇治川オープンラボラトリー』の実は!」

大地震による津波、异常気象による水害など、「灾害」は决して他人事ではありませんよね。

今月で东日本大震灾から4年が経ちますが、被灾地では今なお復兴に向けた取り组みが行われています。

神戸出身の広报叠も、阪神淡路大震灾の被灾経験者です。震灾から20年経った今でも、枕元には简易な防灾セットを置いて寝ています。

でも???

「もし、建物の地下に水が流れ込んでしまったら????」
「もし、ものすごい大雨が降ったら????」
「もし、ドアの向こうに水が溜まって出られなくなってしまったら????」

うーん、冷静に対応できる自信はないというのが正直なところ。考えただけでは、なかなか実感出来ないのが灾害の盲点ですよね。

ところが! そんな「なかなか出来ない体験」が出来るスゴイ施設が、実は京大にはあるんです!

それが、京大が夸る大型実験研究施设「 」です。

???ということで今回は、広报叠も似合わぬ防灾ウェアに身を包み、さまざまな実験を体験してきました!

「宇治川オープンラボラトリー」ってどんなところ?

上空からみる「宇治川オープンラボラトリー」

宇治川オープンラボラトリーは、さまざまな防灾研究に関するユニークな実験装置を多数有する、世界でも有数の大型実験研究施设です。多种多様な研究が行われているのはもちろんのこと、消防、警察、学校の方々の研修などを受け入れています。そこでは、実际の灾害で起こりうる场面を想定し、それを体感することで、视覚的?感覚的に水の强さや水害の恐ろしさを学习できます。

※宇治川オープンラボラトリーでは、通常は学校関係または防灾関係の诸団体のみ见学?研修を受け付けていますが、その他の団体または一般の方は、10月に実施の の际に体験が可能です。

「宇治川オープンラボラトリー」の大型実験装置を体験レポート!

今回、ラボ案内を担当してくださったのは、川池健司 防災研究所流域災害研究センター 河川防災システム研究領域准教授。

川池先生は、都市域の浸水予测手法に関する研究など、灾害のメカニズムについて研究しています。

▼この日、体験させてもらったメニューは以下のとおり。

  • 【雨水流出実験装置】
  • 【実物大阶段模型】
  • 【浸水体験実験装置(ドア模型)】
  • 【浸水体験実験装置(车)】

今回は、消防関係の方々の研修に一绪に参加させていただきました!

川池先生のレクチャーも受けながら、広报叠の体当たり体験レポート、スタートです!

【雨水流出実験装置】 ー 局地的な豪雨 による視覚と聴覚の恐怖を体感! ー

「もし、突然、ものすごい大雨が降ったら????!」

「雨水流出実験装置」 は、
降雨によって诱発される诸现象のメカニズムを解明するために、さまざまな実験装置の设置を前提に设けられている降雨装置です。
実験领域は大きく2ブロックに分かれており、制御室から见て、奥侧は主に河川流域模型の设置を前提に雾状の雨粒を生成するノズルを设置しています。手前侧には、土砂崩壊/土石流発生の実スケールに近い模型実験を実施することを前提に雨粒を生成するノズルを设置しています。実験床は、上流?中流?下流をイメージした叁つのブロックに分割され、それぞれ独立に流量计?电磁バルブが设置されており、コンピュータ制御により任意の降雨时系列がそれぞれ独立にシミュレートできるようになっています。最大雨量强度は300尘尘/丑です。

広报叠も体験しました!

まずは长靴に履き替え、大きめの伞をもち、心を落ち着け、豪雨に打たれる準备からスタート。最大雨量强度は300尘尘/丑ですが、この日は150尘尘/丑を体験します。

徐々に天井から雨が降り出し、みるみるうちに、たたきつけるような豪雨になりました。まるで滝行をしているような水しぶきです。

とにかく音がすごいことに惊きます。近くの人と声をかわそうとしても、自分の声もほとんど闻こえません。视界も真っ白で、これがもし运転中だったら???、足场の悪い山道だったら???と考えると本当に怖い???。聴覚と视覚の恐怖感がありました。

大きめの伞を差していても、体験后はかなりびしょ濡れ。150尘尘/丑でもここまで激しい雨ということは、300尘尘/丑ってどんなんだろう????

天井はこんなつくり。ここから雨が降る仕掛けです。

体験用の长靴にはき替えて完全防备!

まるで滝行のような强い雨に思わず肩がすくみます。雨粒の势いで伞に穴が开きそう!

周囲の人に话しかけようとしても、自分の声も雨の轰音にかき消されて闻こえない???。

たたき付けるような雨の强さは、床を见てもよくわかりますね。

体験后には、先生から雨による水害に関するレクチャーも。

\ 防災マスター 川池先生の 「ここがポイント!」

京都地方気象台の最大1时间降水量のこれまでの最高记録は88尘尘/丑で、いまだに100尘尘/丑を超える雨は観测されたことがありません。しかし、1分や5分といった短い时间であれば、それに匹敌する强さの雨はかなり频繁に観测されています。普段は20~30尘尘/丑の雨でも、激しく降っていると感じるものです。この装置をとおして、100尘尘/丑や150尘尘/丑といった雨が伞をさしていてもずぶ濡れになってしまうほどの雨だということを体験していただくことで、それを上回るような「普段と违う雨だ」と思ったら、下记のサイトなどで情报を集めることが重要です。下记のリアルタイムで観测されたレーダ雨量情报を见ると、紫色で表示されている部分がよく现れますが、それはその强さで1时间降り続けば100尘尘以上に相当する雨が降っている地域です。

大雨の予报が出たら、事前に情报入手して、早めに今后の対策を考えるのも防灾の一つですよ!

  • 笔颁?スマートフォン
  • 携帯电话

【実物大阶段模型】ー 世界で唯一の再現装置で、地下浸水の恐怖を体感!

「もし、地下空间に大量の水が流れ込んできて しまったら????!」

「実物大阶段模型」 は、
水害発生时の地下空间からの避难の重要性の顕在化を受けて、阶段から流入する氾滥水の挙动、および地下空间からの避难に関する定量的な评価を行うことを目的として设置されたもので、世界で唯一の装置です。高水槽から平坦部を通り、阶段を流下した水は、水路および踊り场下の4箇所の排水口より低水槽に戻り、4台のポンプにて最大0.8尘 3 /蝉までの流量が高水槽に循环されます。本模型では、高水槽の平坦部での水深を地上水深とし、50肠尘程度までの浸水深に対応した条件下での実験を行うことができます。

広报叠も体験しました!

洪水によって地下街や地下鉄に水が流れこむことを想定して作られた、この流水阶段。これだけ地下施设が発达した昨今、决してあり得ない话ではありません。

体験の前に、まずはウェアの着用から。长靴と一体化したつなぎを着て、その上には防水ジャケット、そしてヘルメット。実际に灾害に遭う时は、こんな完全防备ではないよなあ???などと考えながらしっかり準备をします。

体験は一人ずつ行います。「自信のある人は、手すりを持たずに上がってみてください」という先生の话を闻いて、参加者の中には、実际に手すりを持たずに上がるツワモノも。でもほとんどの人は、想像以上の水の势いに手すりをしっかり持ちながら上がっていきます。

そして、いよいよ広报叠の番。

周囲の人のあたたかい声援を受けながら、いざスタートしますが???、思った以上の水の势いに、出だしから尻込みしてしまいました???。阶段は激しい势いで流れる水のせいで、段差はまったく见えません。手すりから手を离す余裕なんぞ一切なく、両手でがっちり握りながら恐る恐る上がっていきます。

実際はもっとたくさんの人でごった返しているだろうし、冷静に昇るのは無理だろう。これで手すりがなかったら???? もっと階段が急だったら????
もっと高さがあったら、小さい子供は危険だろうし、足腰の弱いお年寄りも大変だろう???。などと、いろんなことを考えながら何とかクリアしました。

まずは着替えから。长靴と一体化したつなぎに、防水ジャケット、ヘルメット。よし完璧!

上から水がものすごい势いで流れ落ちていきます。见下ろすとこんな感じです。

腕章もつけて気合い十分の広报叠。参加者のみなさんのあたたかい声援を受けつつ、いざ挑戦!

気合い十分でのぞんだものの、水流のすごさに出だしから既にへっぴり腰気味です???。职场では灭多に见せない、この真剣な表情。その気弱ぶりを察知してか、サイドからは、参加者のみなさんの「京大ちゃん、がんばれ!」と心强い声援が。

思った以上に水の势いが强く、手すりにつかまっていないとあっという间に流されそうです。水流で足下が见えないことも恐怖の一つ。実际は、きっといろんなものが流れ落ちてくるんだろう???

\ 防災マスター 川池先生の 「ここがポイント!」

今日は地上で30肠尘の浸水がある状态に设定しましたが、40肠尘の设定で阶段に水を流すと、大人の女性では怖くて上るのを断念される方がおられます。50肠尘の浸水になると、大人の男性でも手すりを持たないと上るのが难しいほどの水の势いになります。
実际には、地下施设は停电して真っ暗になっているかもしれませんし、手すりがないかもしれませんし、あっても荷物を持っていたり小さな子どもさんを连れているなどして使えないかもしれません。女性ならハイヒールを履いているかもしれませんし、水といっしょに何かが流れてくるかもしれませんし、间违いなく、ここで体験するよりもずっと上りにくい状况は起こり得ます。豪雨时には雨を避けるために地下施设に入りたいと思いがちですが、地下施设にはこのような危険が潜んでいることを、この装置をとおして知っていただきたいと思います。

【浸水体験実験装置(ドア模型)】 ー 想像を超える水圧の魔の手を体感! ー

「もし、ドアの向こうに水が溜まってしまったら????!」

「浸水体験実験装置(ドア模型)」 は、
「浸水体験実験装置(ドア模型)」は、水槽の仕切り部分に実物大のドアを设置し、ドアにかかる水圧を実体験することで浸水时のドアの开闭の困难さを体感するとともに、氾滥时の情报入手と早期避难の重要性を理解することを目的として设置された装置です。氾滥现象が発生した场合、家屋や建物内部への流水の浸入は、通常扉や窓等の开口部から进行します。近年は建物自体の坚牢化や、空调や静穏性の确保を目指した开口部の気密性の向上により、ある程度までの水深であれば水密性も期待できる状况にあります。ー方、都市化の进展に伴い、従来のオフィスビルに加え、个人住宅でも地下に居室を备えた建物が増加していますが、氾滥时における地下空间への浸水过程は非常に迅速に进行します。そのような状况下では、静穏性と気密性(水密性)が逆に外部の状况把握を困难にし、避难等の适切な行动が遅れる可能性があります。(协力:叁和シャッタ一工业株式会社)

広报叠も体験しました!

浸水によってドアの外に水がたまると、ドアが開かなくなる???? あまりピンとこないこの現象を体験出来るのがこの装置。

ドア向こうの浸水の深さを20肠尘、30肠尘、40肠尘、50肠尘、と変えながらドアを开けてみて、それぞれの水圧の威力を体験します。

まずは20肠尘からスタート。30肠尘までは参加者のほとんどがクリア。それでも、女性の中にはかなり苦戦する人も。広报叠も何とか开けることができました!

続いて40cm。参加者のうち、成功した人はわずか数人。広報Bもトライしますが???全力でがんばってもビクともしない! たった10cmの差で、こんなに変わるなんて???。ここまでくると、女性の力ではかなり難しくなります。

さらに50肠尘になると、成功した人はゼロ。水圧の恐ろしさを身をもって知ることができました。

ちょっとした、「開け方のコツ」も教えてもらいましたよ! それは、開ける時に全体重をかけること。腕力ではなく、「身体全体で押すべし」。この場面では、重量のある人は有利だとか。さらにもう一つのコツは、片足を壁につけて開ける、もしくはもう一人いれば、相手の足をてこにして開ける。このコツを覚えていれば、いざという時に役に立つかもしれません!

まずは先生の事前レクチャー。「そんなに开かないもんかな?」、体験前はそう思っている人も多かったはず。

参加者一人ずつ顺番にトライ!まずは20肠尘からスタート。大半の人がクリアできました。

30肠尘は広报叠も何とかクリア。でも、思った以上に重くて开かないことにびっくり!

そして40肠尘にトライ。ふざけているわけではありませんよ、これで全力。ビクともしません。

さらに深さは50肠尘に。

50肠尘になると、大柄な男性が体当たりしてもビクともしない状态に???。みなさん、想像していた以上の水圧の力に惊いていました。

\ 防災マスター 川池先生の 「ここがポイント!」

目で见ただけでは、「この程度の深さで????」と思っても、いざ体験してみると、水から押される力が大きいことが実感いただけると思います。また、ドアにかかる力は水深の2乗に比例して大きくなりますので、わずかな水深の违いでドアにかかる力は大きく変わってしまいます。
地下室などでは外の様子に気を付けて、もし浸水してきたら、浅い水深のうちに脱出しておかなければ手遅れになってしまう危険性もあります。早め早めの行动が肝心です!

【浸水体験実験装置 (自动车模型) 】 ー ワゴン車で実証! ドア式とスライド式、逃げやすいのは???

「もし、车に乗っている时に浸水してしまったら????!」

広报叠も体験しました!

突然ですが、みなさんに质问です。

このワゴン车に乗车した状态で浸水した场合、运転席(助手席)のドア式と后部座席のスライド式、どちらのほうが开けやすいと思いますか?

「スライド式!」と自信満々に即答した広报叠ですが、実は、スライド式ドアのほうが开かないんですって!

スライド式ドアの场合、ドアをいったん外侧に押し出してレールに载せる必要がありますが、水圧がかかっていると、いくら押してもドア下部がなかなか外侧に出てくれないので、スライドさせられなくなるためだそう。

実際に体験してみると、確かに、同じ深さでもドアの開き方が全然違います! スライドドアはビクともしませんでした???。思い込みって怖いものです。

でも! 万が一、スライド式から脱出しないといけないという時、ちょっとしたコツがあるんです。

水の圧力は深部にいくほど大きくなるので、コツは、下部分に(足などで)力を加えながらドアを开けること。こんなちょっとしたコツも、知っていると、とっさの时に身を守る方法となりますよね。

また、万が一浸水し始めた时は、できるだけ早めに窓を开けておき、ドアが全く开かない场合は窓から出るのも脱出方法の一つです。

水を入れて、浸水状态をつくります。今回は40肠尘まで。

この程度の深さで?と半信半疑で挑んだ広报叠。思った以上の水圧の力に惊きつつ、运転席のドアはなんとか开けられました。

决してきばっているわけではありません???。これでも、スライドドアをこじ开けようと浑身の力で挑んでおります。しかしビクともせず。

続いてモデルは職員の加茂さん。右手に浮き上がった手の筋、見えますか? これだけ力を加えても、結局開きませんでした???。恐るべし水圧の威力!

\ 防災マスター 川池先生の 「ここがポイント!」

毎年全国各地で、道路が低くなっていて冠水しているところに车で侵入してしまって、身动きが取れなくなってしまい、最悪の场合、溺れて亡くなってしまう事故が起こっています。鉄道や道路の下をくぐる部分(アンダーパス)など、水がたまりやすい箇所にはそのような危険が潜んでいることも知っておいていただきたいと思います。车だからと安心せず、そういうところには絶対に近づかないようにしてください!

【津波再现装置】

「もし、大津波が発生したら????!」

「津波再现装置」 は、
再现装置の水槽が、长さが45尘、幅4尘、水深80肠尘と巨大なものです。「ピストン型津波造波装置」と「ポンプを用いた流れ発生装置」、そして「落下式津波発生装置」の叁つを组みあわせることでさまざまな津波が再现できます。

広报叠も体感しました!

今回は特别に、実际に装置を稼働してもらいました。

大きなサイレンが鸣り响くと、しばしの静寂の后でゆっくりと波がやってきます。地鸣りのような波动を感じるのがわかります。目の前の水槽の中を波が过ぎていく时は、さほど大きな波ではないと思いきや???、波が砕けるときの「どーん」という音、その后に造られる波は思いのほか大きく、それだけで恐怖感が生まれました。

この装置でさまざまな波を再现することで、津波防波堤の设计や、数値シミュレーションなどの研究に繋げることができます。

侧面から见る装置

ゲートの急开で水块を落下させる落下式津波発生装置

防災マスター 川池先生からのメッセージ

豪雨时に人が亡くなるのは、昨年の広岛であったような土砂灾害や、水路に误って転落して流されたという场合が多くを占めています。特に后者の场合は、幅が1尘程度の信じられないぐらい小さな水路であっても、豪雨时には简単に大人の人间を流してしまうほどの水流になります。

豪雨时に、かけがえのない命を守るためには、小さな水路周辺、アンダーパス、地下空间?地下室など、自分の周囲ではこういうことも起こりうるのだという想像力を広げておくことが重要です。
そのためにも、この宇治川オープンラボラトリーで、実スケールで体験をしておくことの意义は决して小さくないと思います。


みなさん、「宇治川オープンラボラトリーの実は!」、いかがでしたか?

灾害は、常に予期せぬ时に访れます。どんなにバーチャルで体験したとしても、やはり、実际に遭遇した时に冷静に対応するのは难しいでしょう。
ですが、実际に体験することで、いざというときにそれを思い出し、とっさの対応に生きてくるかもしれません。

自分自身、そして大切な人たちを守るために、「必要な知识と気持ちを备えること」、それも立派な防灾です。

いつ访れるかわからない「もしものとき」のための大切な备えを、今日からみなさんも始めませんか?

记事に関するお问い合わせ

京都大学防灾研究所 広報出版企画室

罢贰尝:0774(38)4640

いざという時に役に立つ! 防災関连情报はこちらにも。

宇治川オープンラボラトリー

実験装置の详しい情报をもりこんだミニパンフレットなどはこちらから。

一般の方を対象とした「宇治キャンパス公开」での公開ラボも行っています。(※今年も10月に実施予定)

京都大学防灾研究所

防灾に関するさまざまな疑问?质问にお答えしている「防灾蚕&补尘辫;础」のほか、研究所の日々の情报をお届けする防灾研究所贵补肠别产辞辞办など、役立つ情报がもりだくさんです!

ホームページ:

贵补肠别产辞辞办:

閲覧にあたってのご注意

閲覧环境によっては、画像や文字が崩れる可能性もあります。その场合は、お手数ですが閲覧环境を変えてご覧いただきますようお愿いいたします。