京大の「実は!」痴辞濒.23 「京都大学の薬用植物园の実は!」

広报叠:「驰さん。ついに今年も、冷え性の叠にとって过酷な季节がやってきました???。手足が冷え切って、出勤するのもくじけそうです。なんとかならないものでしょうか???。」

広报驰:「それは困りましたね。ところがどっこい、そんな叠さんに朗报です!京大には、実は、汉方の原料になる植物やハーブ类などが植生している「薬用植物园」があるらしいですよ。そこなら、叠さんの冷え切った体と心を救ってくれるヒントがあるかもしれません!!!」

広报叠:「あの、心が冷え切ってるなんて言ってませんけど???。

???とはいえ、そんなスゴイところが京大にあったとは! それは今すぐ行ってみなければ!」

???ということで今回は、贵重な薬用植物の宝库「薬用植物园」に潜入してきました!

一般の植物園と、大学ならではの薬用植物園の違いってどんなところ? どんな植物が栽培されているの? ???などなど、広報Bがレポートします。

「薬用植物园」って、どんな植物园?

京都大学の「薬用植物园」は、薬学研究科?薬学部の研究用施设として1968年に设置されました。3,042尘 2 の面积を有しており、标本园、温室、栽培圃场、树木园などから构成されています。
园内では、日本薬局方に収载される汉方薬原料植物などの重要薬用植物のほか、海外学术调査などで収集した贵重な薬用植物を栽培?管理し、学生の教育のみならず创薬科学の研究のために増殖?利用を図っています。

1980年代からは、圃场を利用してシソ?エゴマに関する遗伝?育种学、遗伝生化学、系统分类学的研究が行われてきました。これらによって固定?育种された系统のほか、国内外の调査研究で収集された系统もあり、现在ではシソの保有系统数は5,800を超え、国内最大规模のコレクションとなっています。また、中近东、中央アジア、东南アジアなどにおける海外学术调査で収集した、薬用植物のさく叶标本はおよそ5,000点、生薬标本は1,100点あり、研究?教育に活用されています。(※さく叶标本は、今春の移転に伴いすべて京都大学総合博物馆に移管しました。园内には、授业で使用する生薬标本のみが残っています。)

※注意※
「薬用植物园」は、一般の方の立ち入りは禁止です。ご了承いただきますようお愿いします。

ふつうの植物园とは违う、京大薬学研究科ならではの「薬用植物园」を案内してもらいました!

今回、園内を案内してくれたのは、伊藤 美千穂 薬学研究科准教授。

生薬に関する研究をして约23年、园内の植物たちの生息状况を知り尽くし、まるで我が子のように日々のメンテナンスをするまさに薬用植物园マスターです。

ひっそりと位置する植物园入口。白衣の学生さんがいるところも、大学の植物园ならではの风景。

薬用植物園マスターこと伊藤先生。園内の植物のことなら何でもござれ! 案内する様子から、植物たちへの愛情がヒシヒシと伝わってきます。

「薬用植物园マスター」伊藤先生による、园内ツアースタート!

取材时は11月という季节柄、既に枯れてしまっているものも多かったのですが、春になると、さまざまな植物が花を咲かせてとても賑わうそうです。

贵重な研究材料である园内の植物たちを一挙に绍介します!

のどに良いことで有名な 「カリン」 。今年は豊作だそうですよ。

近づくと、とってもいいにおい! 広報Bもお土産にいただきました! いただいたカリンは、はちみつ渍にしてみましたよ。

ビタミン豊富で、胃によいとされる 「サンザシ」 。まさに収穫时期です。

こちらは 「オウバク」 。树皮を剥ぎ取り、乾燥させて用います。ベルベリンをはじめとする薬用成分が含まれ、强い抗菌作用を持つため、主に健胃整肠剤として用いられます。

ん? この袋はなに???? これは、 「シソ」 の実。研究に使用する「遗伝的に纯系」な种をとるために、自然交配しないように袋づけをするんですって。

「シソ」の花。春先には、こんなキレイな花が咲きます。

こちらは 「クチナシ」 。利尿作用、胆汁の流れを良くする作用があります。お正月の栗きんとんの色つけに使われるのもコレなんですよ。

かわいらしい朱い実は 「サンシュユ」 。滋养强壮に良いのだそう。

根茎の部分が使われる 「ホソバオケラ」 。杀菌作用があるので、煎じて饮んだり、くすべて烟を出したりして使います。独特のにおい。八坂神社(京都)の元旦の神事「をけら祭」のおけら火にはこれが使われるそう。

何とも不思议な、细く垂れ下がっている実は 「キササゲ」 。利尿作用があり、肾臓病に効くとされています。


キササゲの细いさやの中には、こんな小さな、わたげのような种子が詰まっています。

こちらはキササゲの花。実のビジュアルからは想像出来ない、こんな华やかな花が咲くそう。キササゲの七変化、すごい!

「マリアアザミ」 。名前に反して、叶は鋭いトゲに覆われています。これがかなり痛い!肝臓疾患に効くため、お酒呑みの强い味方。

珍しい 「シロバナタンポポ」 。日本で见られるタンポポのほとんどが西洋タンポポになってしまっている今、とても贵重な在来种なんです。

ハーブで有名な 「レモンバーベナ」 。叶っぱをこすると、爽やかないいにおい!

「ジギタリス」 。むくみの解消に良いそうで、本国イギリスではメジャーな生薬だそう。

ジギタリスの花。春にはこんな个性的な花を咲かせます!

「ボウコウナン」 。煎じて饮むと健胃や利尿効果があるとされます。

さやの中に种子が詰まった 「ケツメイシ」 。利尿作用、便秘解消に良いそう。

ケツメイシの种子。まるで粒チョコみたい。煮出してお茶にするのが一般的。

不思议なフォルムの 「ゲンノショウコ」 。その形から、「みこし草」とも呼ばれます。胃薬や下痢止めとして。

小さい花がかわいらしい 「エンメイソウ」 。「ジテルペン配糖体」が含まれています。「葉っぱをかじってみて」という先生に言われるがままかじると???苦い~! 配糖体が入ってるのに、苦いんですね???。

エンメイソウの不意打ちの苦みに、まさに苦い颜をしていると、「今度はこれ、かじってみて」と先生。恐る恐るかじると???甘~い!こちらは甘味料でも有名な 「ステビア」 。ステビアにも「ジテルペン配糖体」が含まれているそう。苦みと甘み、植物によって表れ方が违うなんて、何とも不思议です。

「ジオウ」 。生のままを「鲜地黄」、そのまま乾燥させたものを「乾地黄」、蒸してから乾燥したものを「熟地黄」というそう。血を补って滋养する効果で知られている生薬です。

有名な 「ドクダミ」 。先ほど出てきた「ゲンノショウコ」のほか、「センブリ」と合わせて、「日本3大和薬」とされています。

かわいらしいドクダミの花。开花期の地上部を乾燥させたものは、「十薬」または「重薬」と呼ばれ、十の効能を持つ重要な薬といわれています。煎じてお茶にするのが一般的。

ご存知 「ラベンダー」 。実は、いい香りなのは花の部分だけ。叶っぱはくさいんです???。

「パイナップルセイジ」 。名前のとおり、なんと叶がパイナップルの甘いにおい。

お茶にすることでご存知の 「ハトムギ」 。种子を乾燥させて用います。

ハトムギの実。利尿作用のほか、消炎作用もあるため、イボがとれる効能もあるんだそう。

こちらはすべて 「ミント」 。一番左の「ハッカ」が最もメントールが多く、「生薬の気剤」とされています。4種類、全てニオイが違うのにビックリ!!! 一番右のミントが最もメジャーで、先生曰く「レアチーズケーキにのってるやつ!」とのこと(笑)。

こちらのシンプルなビジュアルは 「マオウ」 。见た目とは里腹に、「日本の薬学はマオウから始まった」とされる重要な生薬。「エフェドリン」という成分が、発汗作用や咳止めに効くことから、风邪薬などに多用されています。

こちらも有名な 「カンゾウ(甘草)」 。「グリシルリチン」の甘みは、お味噌や、なんとスナック菓子にも使われているそう!日本で最も使用量の多い生薬だそうです。

割ると鲜やかな実が现れる 「ザクロ」 。もぎたてを食べさせていただきました。程よい酸味が美味しい! ザクロも生薬だとは知らなかった!

ハウスの中には、あの日本伝统文化の原料も。

园内の中心に位置するハウス。温室内では、「沉香」や「桂皮」のほか、热帯性の薬用植物などが植えられています。

ハウスの中は、常に最低温度10度を下回らないようにキープ。热帯、亜热帯地方や东南アジア地域をはじめとするさまざまな植物が生息しています。

香道で用いられる香木として有名な 「沉香」 。ここには、中国产やベトナム产が栽培されています。

こちらは 「桂皮」 。ケイ(桂)やニッケイ(肉桂)の树皮で、一部地域で产出する肉桂がスパイスのシナモンと呼ばれているもの。

研究者からのメッセージ

今回の案内人、伊藤先生にお话を闻きました

蚕.大学の研究施设としての「薬用植物园」の特徴と意义とは?

一般の植物园とこの薬用植物园の违いは、何よりも、研究のための植物园であるということ。

研究対象を、サンプルとしてだけでなく、生きた植物として育てることで、その全容と付き合うことができ、研究に幅ができると思います。
生薬の研究をする际でも、乾燥された生薬を市场で购入して実験に使うのと、同じ植物を植物园で育てて、収穫して、処理して実験に使うのとでは、まったく违います。育てながら、细部を见て、时间の経过とともに変わりゆく姿を観察し、世话をして反応を见る。そうすることでいろいろ考える机会が生まれるので、乾いた生薬しか知らない人とは一味违う発想ができます。

そういう场を提供してくれるのが、この薬用植物园だと思います。

蚕.先生ご自身はどのように「薬用植物园」を活用されていますか?

私の研究では、研究に利用する植物を园の圃场や温室で育てており、必要に応じて新鲜叶を採取して使ったり、交配実験を行ったり、学生たちの学会発表のための写真をとったり???とさまざまに活用していますよ。

<番外编>カリンのはちみつ渍けをつくってみました!

お土产にいただいたカリンで、はちみつ渍けを作ってみました。かりんは古くから咳止めやのどの痛みに効果があるとされています。また、カリンに含まれるクエン酸は、新陈代谢を活発にして冷え性の原因である血行不良をよくしてくれるそう。これは冷え性の広报叠にはもってこい!

カリン3个あたり、1办驳程度のはちみつを使います。もぎたてのカリンはいい香り。

1肠尘程度の轮切りに。カリンの皮はとても硬いので要注意。断面図はこんな感じです。种にも薬効成分があるので、そのまま入れます。

轮切りにしたカリンとはちみつを、热汤消毒したビンの中に交互に入れていきます。目安はカリンがはちみつに完全にかぶるくらいです。あとは盖をして冷暗所に置きます。1~2ヵ月たてば饮み顷。お汤で薄めていただきます。

「京都大学の薬用植物园の実は!」、いかがでしたか?

园内の薬用植物の数々は、研究材料として単に利用されるだけではないんです。実际に、植物たちの成育を手がけ、日々の息づかいにていねいに耳を倾けることで见えてくること、気づくことが、新たな研究の糸口へとつながる大きな可能性があります。

そんな薬用植物园は、まさに薬学研究のフィールドワークの场。ここから生まれる新たな研究成果が、いつかたくさんの人を救う种になればと思います。

冷え性を解消するヒントももらえた、今回の「実は!」でした。

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京都大学大学院薬学研究科?薬学部

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