ひとが投资をするとはどういうことか―「自己形成としての投资」に関する概念分析と価値提案―

ターゲット
公开日

 人生を豊かに安心して过ごすための资产形成をしようと思うならば、「长期?分散」型の运用方针が有効であることには、理论的にも経験的にも相応の里付けが存在します。しかし头ではそうわかっていても、不安定な経済や市场の动きを目の当たりにすると、多くの人は投资に尻込みをしたり、途中で止めてしまったりするものです。このことは金融机関にとってビジネス上の悩みとなります。しかしその背后には、「お金」や「経済的利得」の话に留まらない、人间の意思决定や実践にかかわる哲学的に兴味深い问题が横たわっています。

 出口康夫 文学研究科教授、渡邊一弘 成长戦略本部特定助教は、廣瀬朋由 株式会社お金のデザイン取締役副会長?ファウンダーと、産学連携共同研究「ひとが投資をするとはどういうことか―『自己形成としての投資』に関する概念分析と価値提案」を実施しました。本研究では「ひとが投資をするとはどういうことか」という根源的な問いを設定し、アリストテレスや西田幾多郎、現代の物語的自己論が教える哲学的概念や理論を渉猟しつつ、「自己形成としての投資」という観点から資産形成の本質を考察しました。今後はこの考え方をさまざまな現場で活用することで、私的な価値の追求と公共的な価値への配慮とが互いの実現を促し合うような実践を、広く社会に生み出していくことを目指します。

 本研究成果は、2025年3月31日に、ホワイトペーパーとして公表されました。

研究者のコメント

「人文学、特に哲学は『新たな価値の提案』の学です。一方、過去1世紀ほど、哲学においても、専門化?細分化―Th.クーンの言葉を借りれば―『通常科学(normal science)化』が進み、このような哲学本来のあり方が見失われる傾向がありました。21世紀も中葉を迎えつつ、一層混迷を深めつつある世界を前にして、哲学は、今一度、『価値提案の膂力』を鍛え直す必要があります。今回の共同研究プロジェクトは、このような『鍛え直し』の一助ともなりうるのではないかと期待しています。」(出口康夫)

「『お金』を通じて、一人ひとりが自分らしく生きることを応援することが会社のビジョンです。人生と资产形成とは表里一体と考えます。无色透明?客観的な価値でしかない『お金』を、自分の『しあわせ』色に染めた『お金』として提案していくことが、今后のあるべき金融机関の使命だと考えています。共同研究第二期では、特に本研究が资产运用を生活の指针にも活用できればと思っております。」(广瀬朋由)

「哲学をビジネスに活かそう、ビジネスにも哲学的思考が必要だ、などと言われるのを耳にするのもここ数年で珍しいことではなくなりました。しかし、哲学の知识やスキルをビジネス向けにパッケージ化して提供するだけでは、大して面白いものは生まれないかもしれません。もっと大事なのは、フィールドを异にする者どうしが対话をつうじてお互いの思考のブラインドスポットを照らしあい、そこにあるものをともに言语化していくことではないでしょうか。この共同研究を通じて、そのような思いを强くしました。」(渡边一弘)

研究者情报
研究者名
出口 康夫
研究者名
渡邊 一弘
书誌情报

出口康夫, 渡邊一弘, 廣瀬朋由.「ひとが投資をするとはどういうことか—『自己形成としての投資』に関する概念分析と価値提案」. お金のデザイン. 2025-3.