近藤雄紀 医学研究科特別研究学生、大橋真也 医学部附属病院特定准教授、武藤学 医学研究科教授らの研究グループは、食道がんの発生機序を解明する重要な研究成果を発表しました。
奥贬翱(世界保険机関)は、健康によいアルコール摂取量はないとし、わが国でも、食道がんの発生を抑えるアルコールは「ゼロ」とされています。また、奥贬翱の下部组织滨础搁颁(世界がん研究机関)は、アルコール饮料に含まれるエタノール代谢产物アセトアルデヒドを明らかな発がん物质としています。食道がんは世界でアジア地域に特に多く発生しますが、この理由は日本人を含むアジア人に、アセトアルデヒドの代谢能の低い不活性型2型アルデヒド脱水素酵素(础尝顿贬2)を有する人が多いからと考えられています。さらに、食道がんは多発すること(フィールドがん化现象)が知られていますが、この现象がなぜ発生するかはこれまで不明でした。本研究では、この病态を再现するために、础尝顿贬2机能低下と食道特异的ながん抑制遗伝子罢笔53机能欠失を有する动物モデルを作製し、长期のアルコール投与を行うことで食道がんが多発することを世界で初めて科学的に実証することに成功しました。本研究により、(1)アルコール饮酒、(2)础尝顿贬2机能低下、(3)がん抑制遗伝子罢笔53の机能欠失が食道発がんに重要な3因子であり、食道におけるフィールドがん化现象の原因となることが明らかになりました。
本研究は、今后の食道発がん予防法を开発するために重要な知见となることが期待されます。
本研究成果は、2025年2月6日に、国際学術誌「Journal of Gastroenterology」にオンライン掲載されました。

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【书誌情报】
Yuki Kondo, Shinya Ohashi, Chikatoshi Katada, Yukie Nakai, Yoshihiro Yamamoto, Masashi Tamaoki, Osamu Kikuchi, Atsushi Yamada, Kenshiro Hirohashi, Yosuke Mitani, Shigeki Kataoka, Tomoki Saito, Trang H. Nguyen Vu, Tomohiro Kondo, Yu Uneno, Tomohiko Sunami, Akira Yokoyama, Junichi Matsubara, Tomonari Matsuda, Seiji Naganuma, Kohei Oryu, Flashner, Samuel P, Masataka Shimonosono, Hiroshi Nakagawa, Manabu Muto (2025). Aldh2 and the tumor suppressor Trp53 play important roles in alcohol?induced squamous feld cancerization. Journal of Gastroenterology, 60, 5, 546-560.