本州からカワニナの3新种を発见―琵琶湖に起源を持つ贝类の湖外での多様化―

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 日本の中央に位置する古代湖の琵琶湖では、淡水性巻贝のカワニナ属が大规模な种の多様化を遂げています。カワニナ属では、琵琶湖に起源を持つ种はそのほとんどが现在も琵琶湖水系のみに分布していますが、クロダカワニナSemisulcospira kurodaiは唯一、琵琶湖固有种に近縁ながら、静冈県から冈山県までの広い范囲に分布することが知られていました。クロダカワニナでは、先行研究によって种内に遗伝的に异なる4つの系统が见つかっていたものの、それらが独立种であるのかは十分に评価されていませんでした。

 澤田直人  理学研究科博士課程学生(現:東京大学特任研究員)、福家悠介 同博士課程学生(現:国立遺伝学研究所研究員)、三浦収 高知大学教授の研究グループは、クロダカワニナの遺伝解析と形態解析によって、本種の分類学的位置を再定義するとともに、これまで学名がつけられていなかった3新種、タジマカワニナS. masudai(兵库県、鸟取県に分布)、サキガケカワニナS. praecursa(静冈県、爱知県に分布)、ユメカワニナS. miurai(冈山県に分布)を记载しました。

 上记4种は成贝殻の角度や彫刻の形态、胎児殻や歯舌の形态で互いに识别され、いずれの种もメスがオスよりも大きい成贝殻を持ちます。また着者らはクロダカワニナ种内の遗伝解析によって、本种内には4つの地理的集団が含まれること、さらに琵琶湖から湖外への进出で形成されたと考えられていた、琵琶湖を取り囲むような本种の分布域が、実际には中国地方に生息していた祖先が东方へ分布を広げたことで形成された可能性が高いことを示しました。この研究成果によって、カワニナ属の种多様性が再评価されるとともに、琵琶湖に起源を持つカワニナ属が抱える复雑な多様化の歴史の一端が明らかにされました。

 本研究成果は、2025年1月21日に、国際学術誌「Systematics and Biodiversity」にオンライン掲載されました。

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左から、クロダカワニナの成贝殻标本、新种タジマカワニナの成贝殻标本、新种サキガケカワニナの成贝殻标本、新种ユメカワニナの成贝殻标本、新种ユメカワニナの生体
研究者のコメント
「カワニナ属の研究を始めた顷に『琵琶湖から外に出て行ったカワニナは本当にヤマトカワニナグループのクロダカワニナだけなのだろうか。ナカセコカワニナグループにもそんな种がいるという梦みたいな话があったらいいな。』とよく妄想していました。本研究でクロダカワニナに秘められていた予想外の种多様性を分类学的に整理することができ、ユメカワニナの妄想を现実にできたことを幸せに感じています。本研究の成果を土台に、今后もカワニナ属が辿ってきた进化史の解明に多角的に挑みたいと考えています。」(泽田直人)
研究者情报
研究者名
澤田 直人
研究者名
福家 悠介
书誌情报

【顿翱滨】

【书誌情报】
Naoto Sawada, Yusuke Fuke, Osamu Miura (2025). Integrative taxonomy of Semisulcospira kurodai (Mollusca, Semisulcospiridae) with insights into its geographic variation and description of three new species from Japan. , 23, 1, 2436684 .