※ 「详しい研究内容について」(PDF)を一部修正しました(2025年1月16日)
キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法において、サイトカイン放出症候群(Cytokine Release Syndrome、CRS)の発症直後に頭頚部浮腫を来たす症例がまれにあります。重症例では窒息に至り人工呼吸管理を要するなど、極めて重要な合併症ですが、この現象は少数例の症例報告に留まっており、認知度が低い合併症です。
中村直和 医学研究科博士課程学生、髙折晃史 医学部附属病院教授(病院長)、新井康之 同講師、城友泰 同助教らの研究グループは、この合併症をCAR-T後頭頚部浮腫(Neck Edema after CAR-T cell therapy、NEC)と命名し、発症頻度の算出と、リスク因子の探索に取り組みました。その結果、NECは13.5%でみられ、発症中央値はCAR-T輸注3日目であり、多くの症例でNEC発症の1-2日前にCRSを発症していることが分かりました。さらに、NEC発症例と非発症例の血液検査成績を比較したところ、発症例ではNEC発症の1-2日前から末梢血中の好酸球比率が上昇しており、発症予測バイオマーカーとなることが判明しました。
本研究成果は、狈贰颁を正しく理解し、适切な治疗を行うために有用であり、好酸球比率のモニタリングが狈贰颁管理の大きな助けになる可能性を示しました。また、狈贰颁は発症メカニズムが未解明ですが、今回の研究成果は、颁搁厂とは异なる免疫反応が発症に関わっていることを示唆しています。
本研究成果は、2025年1月6日に、国際学術誌「British Journal of Haematology」にオンライン掲載されました。

「颁础搁-T细胞疗法が始まった顷は、狈贰颁という概念は全く知られておらず、初めて头頚部に着明な浮肿を合併した症例を経験した际は、対処に试行错误したものでした。症例を重ねるにつれ、徐々に対処法がわかり、本研究によって正确な発症频度と早期バイオマーカーをも同定することができました。今回の発见が、今后さらに件数が増加することが予想される颁础搁-罢细胞疗法を、より安全に提供することに一役买うとともに、谜に包まれた狈贰颁発症のメカニズムを解き明かす一歩になるものと期待しております。」(中村直和、新井康之)
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【书誌情报】
Naokazu Nakamura, Tomoyasu Jo, Yasuyuki Arai, Toshio Kitawaki, Momoko Nishikori, Chisaki Mizumoto, Junya Kanda, Kouhei Yamashita, Miki Nagao, Akifumi Takaori-Kondo (2025). Increased relative eosinophil counts portend neck oedema after chimeric antigen receptor-T therapy. British Journal of Haematology, 206, 2, 766-768.
読売新聞(1月21日 10面)に掲載されました。