外来种、特に侵入先の生态系や人间活动に大きな影响を与える恐れのあるものを侵略的外来种と呼びます。コウライオヤニラミ(Coreoperca herzi)は朝鲜半岛原产の淡水鱼で、2017年に初めて宫崎県大淀川水系の一支流で捕获された、比较的侵入から日の浅い外来鱼です。本种は鱼类や昆虫类、甲殻类などを好む强い肉食性を示し、かつ最大で全长30肠尘にまで成长するため、潜在的に河川生态系に対して非常に高い侵略性を持つことが予测されます。しかし、これまで水系内における広范囲な分布调査や生态系への定量的な影响评価はなされておらず、気づかないうちに事态がより深刻化している可能性がありました。
この度、辻冴月 情报学研究科助教、土居秀幸 同教授、渡辺勝敏 理学研究科教授、日比野友亮 北九州市立いのちのたび博物館学芸員、タカラバイオ株式会社の芝田直樹氏らの研究グループは、環境水に含まれる魚類由来のDNA(環境DNA)を定量的に分析し、コウライオヤニラミが侵入から数年のうちに水系全体に分布を広げ、かつ他の魚類に深刻な負の影響を与えている可能性を示しました。この驚異的な分布拡大能力は、ひとたび放流されれば、生物多様性の劣化が想像以上に早く進行する危険性が高いことを示しています。また、環境DNA濃度の比較と胃内容解析により、底生魚だけでなく遊泳魚も競合や捕食による被害を受けることが示されました。本水系の固有種?オオヨドシマドジョウを含む、多くの在来魚?昆虫等が捕食されてしまう可能性があり、本種が日本の河川生態系にとって非常に大きな脅威となることは疑いようがありません。本研究は、環境DNAを用いた複数種の定量的な生息調査が外来種の侵入やその影響の把握に大きな効果をもつこと、また豊かな河川の自然を残すために、早急なコウライオヤニラミの拡散防止と防除策が必要であることを強く示しています。
本研究成果は、2024年6月12日に、国際学術誌「Biological Invasions」にオンライン掲載されました。

「コウライオヤニラミ自体に罪はないが、害がある。とてもかっこいい魅力的な鱼なだけに、侵入地である大淀川の惨状を目の当たりにしたときは悲しみと、少し遅れて怒りが涌いてきました。本种に限らず、ペット等を外来种として野外に放す、これからさらに拡散させる行為を决して许してはいけません。本研究が今后、コウライオヤニラミの防除に役立つことを切に愿います。」(辻冴月)
【顿翱滨】
【书誌情报】
Satsuki Tsuji, Hideyuki Doi, Yusuke Hibino, Naoki Shibata, Katsutoshi Watanabe (2024). Rapid assessment of invasion front and biological impact of the invasive fish Coreoperca herzi using quantitative eDNA metabarcoding. Biological Invasions.
毎日新聞(7月3日 18面)に掲載されました。