ヒトの骨盘には思春期以降、明确な性差が认められます。しかし、出生前の胎児期における骨盘の性差については、见解が一致していません。ヒトの骨盘は、软骨原基が骨组织に置き换えられる软骨内骨化によって形成されます。これまでの胎児期の性差の検讨は、软骨组织から骨组织への置き换え(一次骨化)がある程度进んだ、受精后20週以降が主に対象とされ、一次骨化が开始する受精后9週からを対象とした解析はありませんでした。
この度、金橋徹 医学研究科助教、高桑徹也 同教授、山田重人 同教授、今井宏彦 情报学研究科助教、松林潤 滋賀医科大学特任助教、大谷浩 島根大学教授(現:同学長)らの研究グループは、医学研究科附属先天異常標本解析センターおよび島根大学医学部解剖学講座が所蔵する、受精後9週から23週に相当する頭殿長50~225mmのヒト胎児標本72体のMRI画像を取得し、様々な部位の計測と重回帰分析を行って性差を検討しました。その結果、骨盤上口の前後径、恥骨下角、および坐骨棘間径と大骨盤横径の比に性差が認められました。従来考えられてきた時期よりも早く、一次骨化の開始期には既に骨盤に性差が存在することを示唆する本研究結果は、ヒト胎児骨盤の形態が男女で異なることを理解する上で重要な知見を提供するものです。
本研究成果は、2024年5月7日に、国際学術誌「Communications Biology」にオンライン掲載されました。

「本研究では、一次骨化が开始する受精后9週以降の希少なヒト胎児标本と、正确に立体情报を把握できる高解像度惭搁滨画像を取得できたことで、従来では検讨できなかった胎児期初期のヒト骨盘を検讨し、性差の存在を証明することができました。本成果で得られた新しい知见は、『胎児期のヒトの骨盘では、性差は十分には分からない』と考えられてきた、これまでの定説を覆すという点で大きな価値を持つと考えます。」(金桥彻)
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【书誌情报】
Toru Kanahashi, Jun Matsubayashi, Hirohiko Imai, Shigehito Yamada, Hiroki Otani, Tetsuya Takakuwa (2024). Sexual dimorphism of the human fetal pelvis exists at the onset of primary ossification. Communications Biology, 7, 538.