家族间での心血管疾患とうつ病の関连を明らかに-配偶者の心血管疾患により个人のうつ病リスクが増加-

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 井上浩輔 白眉センター/医学研究科特定准教授、近藤尚己 医学研究科教授、古村俊昌 米国?ボストン大学(Boston University)修士課程学生、津川友介 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)准教授らの研究グループは、全国健康保険協会(協会けんぽ)の生活習慣病予防健診および医療レセプトのデータ(約28万人)を用いて、配偶者の心血管疾患(CVD)によって本人のうつ病リスクが上昇することを明らかにしました。

 これまでの研究により、个人レベルでは颁痴顿とうつ病には様々な関连が存在することが报告されていました。一方で、个人の颁痴顿がその家族のメンタルヘルスにどの程度影响しているかについては明确な検証がされていませんでした。本研究では、全国健康保険协会(协会けんぽ)に加入する世帯主(被保険者)とその被扶养者を対象とし、被扶养者の颁痴顿発症(脳卒中、心不全、心筋梗塞)の有无における世帯主のうつ病リスクの変化を比较しました。その结果、被扶养者が颁痴顿を発症した家庭では、そうでない(被扶养者が颁痴顿を発症していない)家庭に比べて、世帯主のうつ病リスクがより高く认められました。また、被扶养者の発症した颁痴顿がより重症である场合、世帯主のうつ病リスクがより高くなることが示されました。

 本结果は、配偶者が颁痴顿を発症した际に、そのパートナーに対してメンタルケアを提供することの重要性を示唆しています。予防医疗が注目を浴びる近年において、患者本人に加えて患者の家族を意识したケアを提供することは重要な视点となる可能性があります。このような家族単位での健康に着目した研究は世界的に见ても限られているため、さらなる知见の创出と効果的な施策の开発が求められます。

 本研究成果は、2024年4月13日に、国際学術誌「JAMA Network Open」にオンライン掲載されました。

文章を入れてください
最大6年间の追跡の结果、配偶者が颁痴顿を発症しなかった世帯に比べて、配偶者が颁痴顿を発症した世帯では、世帯主がうつ病を発症するリスクが13%高かった。
研究者のコメント

「本研究は古村(笔头着者)が社会疫学を学ぶ中で、多くの研究が个人のみを対象としており、家族や世帯全体に着目した研究が少ないことに気付いた所から始まりました。日々の习惯から社会的な要因まで、私达の健康を规定する因子は様々な规模で存在しています。その中で、家族とは生活に直接関わる身近な存在でありながら、実际どのように私达の健康に影响を与えているのかのエビデンスは多くありません。そして患者本人だけではなく、その周りの家族に対してもケアを提供する事は、予防医疗が注目を浴びる近年において重要な视点である可能性があります。世帯全体を対象とした研究は世界的に见ても限られているため、より効果的な施策の开発に繋がる知见の创出に注力していきたいと思います。」

研究者情报
研究者名
井上 浩輔
研究者名
近藤 尚己
书誌情报

【顿翱滨】

【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】

【书誌情报】
Toshiaki Komura, Yusuke Tsugawa, Naoki Kondo, Kosuke Inoue (2024). Depression Onset After a Spouse’s Cardiovascular Event. JAMA Network Open, 7.

メディア掲载情报

朝日新聞(5月15日 18面)に掲載されました。