哺乳动物の受精直后の受精卵は、直径が1ミリメートルにも満たない非常に小さなものです。受精卵の発生能力(妊娠のしやすさや生まれる产子の健康)には个々に差があることが知られており、正常な発生のためには遗伝子が适切に働くことが重要です。遗伝子の基本情报は顿狈础の塩基配列ですが、その遗伝子の働きがなぜ细胞や个体ごとに异なるかを塩基配列以外の情报で决めている仕组み(エピジェネティクス)があり、顿狈础が结合しているタンパク质であるヒストンの修饰もその一つです。ヒストン修饰の解析法はすでにありますが、1个1个の受精卵のヒストン修饰解析はその小ささや细胞の少なさから困难でした。
この度、池田俊太郎 農学研究科教授、Zeng Yiren 同博士課程学生らのグループは、受精卵の個別培養に用いられている培養皿(WOWディッシュ)上で、従来の少数細胞用のヒストン修飾解析を行うことによって、単一のウシ受精卵、さらにはその一部の細胞に対して、高感度なヒストン修飾解析が行えることを実証し、WOW-CATと名付けました。今後、受精卵の発生能力に関連する修飾が見つかれば、本法を用いて、受精卵の発生能力の予測や、受精卵の生産方法の品質管理が可能になることが期待されます。
本研究成果は、2024年1月18日に、国際学術誌「BMC Genomics」にオンライン掲載されました。

「私たちは、資源動物の受精卵が持つ有用なエピジェネティック修飾をEMER(EMbryonic Epigenetic Resourceの略でエメルと発音)と呼んでいます。今回、動物生産に利用可能な形で雌雄マーカーというEMERの検出ができることが分かりました。今後も引き続きEMERの探索とその利用方法の開発を目指します。」
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【书誌情报】
Yiren Zeng, Yoichiro Hoshino, Kazuki Susami, Shinnosuke Honda, Naojiro Minami, Shuntaro Ikeda (2024). Evaluating histone modification analysis of individual preimplantation embryos. BMC Genomics, 25:75.