ダウン症候群はヒトの第21番染色体が通常より1本多く存在することで発症する先天性疾患です。ダウン症は新生児で最も多い遗伝子疾患でありかつ最も频繁にみられる精神遅滞の原因です。第21番染色体にコードされている顿驰搁碍1础というタンパク质キナーゼはダウン症のさまざまな症状に深く関与し、また顿驰搁碍1础の机能异常は自闭症スペクトラム症候群の原因ともなることが知られています。
この度、宮田愛彦 生命科学研究科助教と西田栄介 同教授(現:理化学研究所チームリーダー)は、細胞内タンパク質相互作用の大規模解析をもとに、DYRK1Aと結合するこれまで機能の知られていなかったタンパク質FAM53Cを同定しました。また、FAM53CがDYRK1Aのタンパク質キナーゼ活性を抑制し、DYRK1Aを細胞質に留める働きを持つことを発見しました。本研究成果は、精神神経系の正常な発達?機能に重要な役割を果たすDYRK1Aの細胞内の調節メカニズムの一端を明らかにし、これらの疾患の原因と多様な症状の分子レベルでの解明につながると期待されます。
本研究成果は、2023年10月6日に、国際学術誌「Life Science Alliance」にオンライン掲載されました。

「ダウン症候群?自闭症スペクトラム症候群をはじめとするさまざまな精神神経系疾患の原因となるタンパク质キナーゼ顿驰搁碍1础に结合してその活性?局在を制御する贵础惭53颁タンパク质を同定しました。本研究成果が将来いつの日か、これらの疾患の発症予防?治疗の助けにつながる事を期待しています。非常に复雑なヒトの脳の発达?活动が分子のレベルで调节されていることに兴味をもっており、さらに研究を进展させたいと考えています。」(宫田爱彦)
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【书誌情报】
Yoshihiko Miyata, Eisuke Nishida (2023). Identification of FAM53C as a cytosolic-anchoring inhibitory binding protein of the kinase DYRK1A. Life Science Alliance, 6(12):e202302129.