林到炫(イム?ドヒョン)医学研究科助教、岩田想 同教授(兼:理化学研究所グループディレクター)、浅田秀基 同特定准教授らの研究グループは、野田岳志 医生物学研究所教授、杉田征彦 同/白眉センター准教授、加藤貴之 大阪大学教授、岸川淳一 同助教(現:京都工芸繊維大学准教授)らとの共同研究により、ヒスタミンH4受容体(H4R)の立体構造を、クライオ電子顕微鏡法(Cryo-EM)を用いて解明しました。生体アミンの一種であるヒスタミンは、ヒスタミン受容体を刺激することによりアレルギーや炎症に関与します。4種類のヒスタミン受容体の中でH4Rは、アトピー性皮膚炎や喘息などの慢性アレルギー疾患の治療標的として注目されています。本研究により、今まで未知であったH4Rの立体構造が明らかになり、薬理学的特徴が異なる2種類の作動薬(ヒスタミン、イメチット)の結合構造をそれぞれ決定することで、H4Rが持つ特異的なリガンド認識機構を解明しました。特にイメチットの結合によるPhe344の構造変化は、新たな空洞「Aromatic slot」を形成し、サブタイプ選択性に重要な役割を果たしていることが分かりました。これらの結果は、ヒスタミン受容体のサブタイプ選択性の分子的基盤を洞察し、H4Rを標的とする薬剤の合理的なデザインに貢献できることが期待されます。
本研究成果は、2023年10月20日に、国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。

「アレルギーは今や国民病と言える疾患です。その中でもアトピー性皮肤炎や喘息は対処疗法しか存在しない难治性疾患であり、その症状は耐え难いものです。现在も多方面の研究が行われており、これらの疾患に対する治疗薬の开発は続けられています。しかし、特に选択性の欠如に伴う副作用など改善すべき点が多く存在するため、有効な治疗薬は存在していません。今回、贬4搁选択的作动薬が结合した贬4搁の构造を决定したことで、原子レベルでなければ分からなかった変化を直接『见る』ことに成功しました。今回见えた构造がこれらの疾患に対する治疗法确立に利用されることを期待しており、今后もこれらの疾患に対する治疗薬の开発に资する构造情报を提供していきたいと考えています。
本研究は、多くの共同研究者の协力なしでは遂行することはできませんでした。特に、颁谤测辞-贰惭技术なしではこの结果を得ることはできませんでした。これらの技术を支えてくれた共同研究者の方々を初め、本研究に携わった全ての方々に感谢致します。」
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【书誌情报】
Dohyun Im, Jun-ichi Kishikawa, Yuki Shiimura, Hiromi Hisano, Akane Ito, Yoko Fujita-Fujiharu, Yukihiko Sugita, Takeshi Noda, Takayuki Kato, Hidetsugu Asada, So Iwata (2023). Structural insights into the agonists binding and receptor selectivity of human histamine H4 receptor. Nature Communications, 14:6538.