コケで探る植物ホルモンジベレリンの多様性―苔类ジベレリン様化合物は远赤色光応答を制御―

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 孫芮 生命科学研究科研究員(研究当時:同博士課程学生)、岡部麻衣子 同修士課程学生、吉竹良洋 同助教、河内孝之 同教授らと石田俊晃 化学研究所博士課程学生(研究当時)、増口潔 同助教、山口信次郎 同教授のグループは、宮崎翔 東京農工大学助教、西浜竜一 東京理科大学教授(元京都大学生命科学研究科准教授)、川出洋 東京農工大学教授、中嶋正敏准 東京大学教授と共同で、苔類ゼニゴケにはジベレリンに関連する化合物が存在し、遠赤色光応答に関わることを明らかにしました。しかし、この研究では、作物の「緑の革命」にも深く関わる植物ホルモンであるジベレリンと同一の物質でないことも示しています。陸上植物の進化の初期にジベレリン生合成の初発段階の酵素遺伝子を獲得し、ジベレリン様の化合物を成長調節に利用していたことを明らかにするとともに、進化の過程でジベレリンの分子と機能の多様化が起こったことを示すものです。今後はゼニゴケのジベレリン関連ホルモンがどのように働くかといった仕組みにも興味がもたれます。

 本研究成果は、2023年8月19日に、国際学術誌「The Plant Cell」にオンライン掲載されました。 

文章を入れてください维管束植物とコケ植物は4.5亿年前に分岐した。ゼニゴケはジベレリンの基本构造をもつ化合物骋础Mpを合成する。この分子を欠くゼニゴケは环境に依存した上方向への成长や有性生殖の诱导ができない。
研究者のコメント

「独自の进化の道をたどったコケ植物ですが、他のなじみ深い植物と同じように地球环境の変化と戦いながら4亿5千万年の时间を生き抜いてきました。今回研究対象としたゼニゴケは、ジベレリンの途中の生合成ステップまでは陆上植物共通の祖先から受け継いだ遗伝子を使っていましたが、最终的に活性をもつ分子は异なるようです。生物が遗伝子や代谢产物を駆使して独自の生存戦略を确立し、最终的にこの魅力的な地球の生物多様性に贡献していることを研究を通じて実感として知ることができました。」(孙芮)

研究者情报
研究者名
吉竹 良洋
研究者名
河内 孝之
研究者名
増口 潔
研究者名
山口 信次郎
书誌情报

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【书誌情报】
Rui Sun, Maiko Okabe, Sho Miyazaki, Toshiaki Ishida, Kiyoshi Mashiguchi, Keisuke Inoue, Yoshihiro Yoshitake, Shohei Yamaoka, Ryuichi Nishihama, Hiroshi Kawaide, Masatoshi Nakajima, Shinjiro Yamaguchi, Takayuki Kohchi (2023). Biosynthesis of gibberellin-related compounds modulates far-red light responses in the liverwort Marchantia polymorpha. The Plant Cell, 35(11), 4111–4132.