ミミズは落叶落枝の分解者として土壌の形成に重要な役割を果たすとともに、さまざまな动物の饵となり、陆上生态系の生物多様性を支えています。日本を含む东アジアでは、ミミズの大部分はフトミミズ科の种で、中でもアズマフトミミズ属の仲间が多く、ミミズ类全体の80%程度の种数を占めると言われています。この属は日本では140种程度记録されていますが、それらの种の系统関係や起源は分かっていませんでした。
佐藤千佳 理学研究科修士課程学生(研究当時)、曽田貞滋 同教授、念代周子 弘前大学修士課程学生、池田紘士 同准教授(現:東京大学准教授)、長太伸章 国立科学博物館特定研究員、奥崎穣 東京大学講師、南谷幸雄 栃木県立博物館主任研究員らの研究グループは、北海道から沖縄までの日本列島から得られた約200個体のフトミミズ類からミトコンドリアゲノム(ミトゲノム)DNA配列データを取得し、データベースに登録されている中国などのフトミミズ類のDNA配列データとあわせて系統解析を行いました。その結果、琉球列島を含む日本に生息するアズマフトミミズ属は3つの異なる系統群に属すること、本土(九州~北海道)の固有種は、4つの系統群に分かれることが分かりました。
本研究成果は、2023年2月25日に、国際学術誌「Molecular Phylogenetics and Evolution」にオンライン掲載されました。

「私达は日本固有のオサムシ类(オオオサムシ亜属)の种の多様化の背景を解明する目的で、オオオサムシ亜属の幼虫が饵とするフトミミズ类について调べてきました。今回の研究で、特に落ち叶の下に生息する表层性のアズマフトミミズ属の系统が多様化していることが分かりました。その系统がオオオサムシ亜属の繁栄を支えていたわけです。この研究で、ともに大陆の系统に由来する捕食者と被食者の日本列岛での多様化の歴史が分かったことは大きな成果です。今后は、私达の研究をもとにして、日本产フトミミズ类の分子系统解析が进展し、さらにアジアの広い地域でのフトミミズ类の系统进化を解明する研究に発展していくことを期待しています。」(曽田贞滋)
【顿翱滨】
【书誌情报】
Chika Sato, Noriko Nendai, Nobuaki Nagata, Yutaka Okuzaki, Hiroshi Ikeda, Yukio Minamiya, Teiji Sota (2023). Origin and diversification of pheretimoid megascolecid earthworms in the Japanese Archipelago as revealed by mitogenomic phylogenetics. Molecular Phylogenetics and Evolution, 182:107735.