中野智之 フィールド科学教育研究センター講師、岡西政典 広島修道大学助教、東京大学、神戸大学、株式会社環境総合リサーチからなる研究グループが、海中の無脊椎動物の体表の粘液や排泄物から水中に放出されたDNA(環境DNA)を分析することで、そのDNAの持ち主の種類を判別する技術を開発しました。
海洋は地球の面积の70%を占めており、そこにすむ生物は我々に大きな恩恵をもたらしています。しかし、海洋环境推定のために必要な生物の种类调査には、潜水や网を用いた作业が必要で、大きな労力と时间がかかっていました。また海洋の大部分を占める深海においてはこの作业がさらに困难でした。
今回の研究では、ヒトデの仲间であるクモヒトデをターゲットとして、それらが水中に放出した环境顿狈础を调べることで、その种类を判别する技术を开発しました。「メタバーコーディング」と呼ばれるこの技术の研究例は、日本の海では鱼类や甲殻类でのみ知られており、深海域での研究例もありませんでした。
この技术によって、鱼类や甲殻类などの移动力の高い生物だけでなく、移动性が低くその环境から动かない生物も対象にすることで、より详しく海洋环境を推定できるようになると期待できます。また今后ウニやナマコなどの他の生物の调査に応用されれば、アクセスが难しい深海域での生物のモニタリングを、谁でも、広范囲にわたり、短时间で行うことが可能になります。
本研究成果は、2023年2月28日に、科学雑誌「惭别迟补产补谤肠辞诲颈苍驳&补尘辫;惭别迟补驳别苍辞尘颈肠蝉」で公开されました。

「环境顿狈础の研究分野では、海产无脊椎动物の研究は遅れ気味でした。今回はクモヒトデに焦点をおいた研究ですが、他の海产无脊椎动物についてもこれから研究を进めていく予定です。」(中野智之)
【顿翱滨】
【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】
【书誌情报】
Masanori Okanishi, Hisanori Kohtsuka, Qianqian Wu, Junpei Shinji, Naoki Shibata, Takashi Tamada, Tomoyuki Nakano, Toshifumi Minamoto (2023). Development of two new sets of PCR primers for eDNA metabarcoding of brittle stars (Echinodermata, Ophiuroidea). Metabarcoding and Metagenomics, 7, 51-72:e94298.