奥搁狈タンパク质の新たなテロメア制御机能―抗がん剤の薬理効果にも影响か―

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 ヒトを含む真核生物の遗伝情报を担う染色体はヒモのような线状で、その末端をテロメアと言います。テロメアは、自然な顿狈础末端が不必要な顿狈础伤害反応を引き起こさないように守っています。细胞周期を有糸分裂(惭)期に停止させるタキソールやビンブラスチンなどの杀细胞性抗がん剤を使用すると、惭期停止中にテロメアの保护が失われて细胞死のシグナルとなる现象(惭期テロメア脱保护)が知られていましたが、その分子メカニズムはよくわかっていませんでした。

 今回、林眞理 医学研究科客員准教授(兼任:IFOM ETSグループリーダー)、Diana Romero 同研究員(兼:生命科学研究科大学院生)からなるグループは、テロメアの脱保護を促進できる酵素活性をもつWRNヘリケースに着目した解析を進めたところ、驚いたことにWRNは脱保護を促進するのではなく、抑制することがわかりました。この機能にWRNの酵素活性は必要なく、WRNの一部の領域のリン酸化の有無によってこの抑制機能が制御されていることが示唆されました。

 分子メカニズムの完全な解明には今后更なる研究が必要ですが、この成果は、惭期を阻害する抗がん剤の薬理作用を正确に理解し、その効果を向上させる手法の开発等に贡献することが期待されます。

 本研究成果は、2023年1月12日に、国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

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図 奥搁狈タンパク质の有无による惭期阻害抗がん剤の効果の违い
奥搁狈は惭期停止中のテロメア脱保护を抑制する。奥搁狈がない条件では、细胞分裂阻害による惭期テロメア脱保护が亢进する。

研究者のコメント

「”奥搁狈ヘリケースは惭期テロメア脱保护を促进する”という仮説に基づいて始めた研究ですが、全く正反対の结果が出て惊きました。研究结果や成果をあらかじめ予测することは难しく、予断を排して実験结果と向き合うことこそが研究の醍醐味であることを再确认できました。」

研究者情报
研究者名
林 眞理
书誌情报

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【书誌情报】
Diana Romero-Zamora, Makoto T. Hayashi (2023). A non-catalytic N-terminus domain of WRN prevents mitotic telomere deprotection. Scientific Reports, 13:645.