笔顿-1阻害抗体など免疫チェックポイント阻害剤は、罢细胞の赋活化を抑制する笔顿-1などに结合することにより、がん细胞に対する罢细胞の攻撃を活性化し、末期がん患者をも救済する画期的な治疗薬で、がん治疗戦略の中心的存在となりつつあります。残念ながら、免疫チェックポイント阻害剤が奉功しないがん患者も多数いらっしゃいますが、罢细胞は、がん细胞に特异的に発现するネオ抗原を目印としてがん细胞を认识し攻撃しているので、がん细胞のネオ抗原の発现量や多様性を増やすことができれば、がん免疫疗法の効果を剧的に高められると予想されます。
萩原正敏 医学研究科教授、網代将彦 同特定講師、松島慎吾 同博士課程学生らの研究グループは、飯田慶 近畿大学講師、本庶佑 京都大学特別教授、茶本健司 医学研究科特定准教授らと共同で、遺伝病治療のためにmRNAのスプライシングパターンを変える低分子化合物の研究開発を行ってきましたが、そのスプラシング制御化合物の一つであるRECTASをがん細胞に投与すると、がん細胞のmRNAスプライシングパターンが変化し、ネオ抗原の発現が亢進することを見出し、これらを「スプライスネオ抗原」と名付けました。またRECTASはPD-1阻害療剤の治療効果を高めるのみならず、RECTASで誘導される「スプライスネオ抗原」のよるがんワクチン療法も可能であることを示しました。RECTASは元々遺伝病治療のために開発されたため毒性もほとんどなく、今回の実験結果は、RNAスプライシング制御薬による次世代がん免疫療法への道を拓く研究成果であると言えます。
本研究成果は、2022年11月30日に、国際学術誌「Science Translational Medicine」に掲載されました。

研究者のコメント
「本研究は、化合物で搁狈础スプライシングを操作することで、がん细胞に「目印」をつけるというユニークな発想から始まりました。今后もチャレンジングな基础研究に立ち向かうと同时に、この基础研究から生まれた成果を临床开発へ繋げるために研究を进めてまいります。」(松岛慎吾)
「本研究はがん研究において搁狈础スプライシングの机能の新たな侧面を明らかにする成果でもあります。今后も癌の本态に迫るべくさらに研究を进めていきたいと思います。」(网代将彦)
「本庶佑特别教授をセンター长とする新しいがん免疫総合研究センターが京大に出来たので、その新センターに集う新进気鋭の研究者たちとも协力して、一刻も早く新しいがん免疫疗法を実用化し、难治のがんに苦しむ方々を一人でも多く救いたいと思っています。」(萩原正敏)
【顿翱滨】
【书誌情报】
Shingo Matsushima, Masahiko Ajiro, Kei Iida, Kenji Chamoto, Tasuku Honjo, Masatoshi Hagiwara (2022). Chemical induction of splice-neoantigens attenuates tumor growth in a preclinical model of colorectal cancer. Science Translational Medicine, 14(673):eabn6056.