山守瑠奈 フィールド科学教育研究センター助教(瀬戸臨海実験所)、加藤真 人間?環境学研究科教授、鳥羽水族館 森滝丈也氏らの研究グループは、深海に生息する多毛類クシエライソメAnchinothria cirrobranchiata(ナナテイソメ科)が、河川から海へと流入した照葉樹林の落ち葉を巣材や食物として利用することを解明しました。
ナナテイソメ科は自ら分泌した糸と周囲の堆积物を用いて、筒状の巣を作ります。その中で、クシエライソメは巣材に必ず落ち叶を使います。今回の调査では、鸟羽水族馆の底引网调査で採集されたクシエライソメについて、巣材に使われた落ち叶の种类と行动を详しく観察し、また、遗伝子情报から进化の道筋を调べました。その结果、クシエライソメは河川下流域に広がる照叶树林の落ち叶を利用していること、また、その落ち叶を巣材だけでなく食物としても利用していることがわかりました。本结果は、河川から深海への物质の繋がりを知る一助となると考えられます。今后は、巣を纺ぐイソメ类の生态について、より详しく研究を进めて行く予定です。
本研究成果は、2022年11月4日に、国際学術雑誌「Journal of the Marine Biological Association of the United Kingdom」にオンライン掲載されました。

クレジット:鸟羽水族馆饲育研究部森滝丈也
研究者のコメント
「「なんて可爱い多毛类なんだ」クシエライソメを见た瞬间、可爱さが全身を强打しました。小さな手(「疣足」と呼びます。イボと形容される多毛类の小さな足、もうその时点で可爱いですよね?)で落ち叶を掴んで口に运ぶ姿、落ち叶が运ばれる完全无欠の「ω」型の前口叶(口の上部にある组织)。可爱い、イソメの可爱さを伝えるのに文字数が足りない……という感情を心の内に仕舞って、陆上の森と深海の繋がりについて推していきたいと思います。」(山守瑠奈)
【顿翱滨】
【书誌事项】
Luna Yamamori, Takeya Moritaki, Makoto Kato (2022). Terrigenous leaf-utilizing life of the tube-bearing annelid Anchinothria cirrobranchiata (Annelida: Onuphidae) in the deep sea. Journal of the Marine Biological Association of the United Kingdom, 102(7), 496-501.