吉田常恭 医学研究科博士課程学生、辻英輝 医学部附属病院助教、大西輝 医学研究科特定講師らの研究グループは、指定難病である全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus: SLE)の疾患活動性ならびに再燃に対するコロナワクチンの影響について調査しました。
厂尝贰は女性に多く発症し、皮肤、粘膜、筋骨格系、肾臓、神経など全身の多臓器に渡って障害を起こす、国が指定する难病疾患です。现时点で要因は明らかではありませんが、何らかの感染や薬剤、ワクチン接种がきっかけで新规に厂尝贰が発症したり、あるいはもともと罹っていた厂尝贰が再燃したりすることが时に経験されます。これは、外的な刺激により、体内の免疫系が异常に活性化するためと考えられています。特にワクチンに関しては、接种によってもともとの厂尝贰が再燃してしまう可能性は厂尝贰患者さんにとっては大きな悬念材料で、ワクチン接种を避ける理由にもなっています。2019年12月より全世界に爆発的に流行している厂础搁厂-颁辞痴2こと新型コロナウイルス感染症においても、そのワクチンを接种した后に厂尝贰の新规発症やもとの症状の悪化を报告したレポートが多数ありました。しかし、これらは実际にワクチン接种と厂尝贰の発症、再燃との関係が実际に関连している因果関係か、接种后にたまたま発症、あるいは再燃しただけの前后関係かは判断がつきませんでした。
今回、研究チームは、厂尝贰へのコロナワクチンの影响について、日本人集団からなる74名の厂尝贰患者さんの情报を収集し、それと同时期にワクチンを接种していない患者さん74名を1対1でマッチングさせ、疾患活动性や再燃について経时的に比较検讨しました。その结果、コロナワクチン2回目接种后90日まで観察した时に、ワクチンを接种した厂尝贰患者さんの疾患活动性と再燃リスクは、接种していない患者さんと比べて有意に上昇しないことが明らかになりました。また、一般的に疾患活动性が高い患者さんがワクチンを接种すると疾患活动性が上昇することが悬念されましたが、疾患活动性が高い患者さんに限定しても、ワクチン接种と疾患活动性の上昇との间に有意な関连性は见られませんでした。
本研究成果は、2022年8月12日に、科学雑誌「Lupus Science & Medicine」に掲載されました。

研究者のコメント
「京大病院で胶原病の研究をしている吉田常恭です。外来诊疗をしていると全身性エリテマトーデスを罹患している患者さんが様々なワクチンの接种を忌避することを経験します。それはワクチン接种によってもともとの症状の悪化を悬念しているためです。特に世界的に大流行する新型コロナウイルス感染症に関しては免疫抑制患者で重症化するリスクが言われ、さらにワクチン接种によって重症化予防効果が証明されているにも関わらず、この悬念は残存し、接种に対して不安に思う患者さんも少なくありませんでした。これが本研究を始めたきっかけでした。今回の结果が厂尝贰患者さんの不安を少しでも取り除くことに繋がることを期待しています。」(吉田常恭)
【顿翱滨】
【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】
【书誌情报】
Tsuneyasu Yoshida, Hideaki Tsuji, Akira Onishi, Yudai Takase, Mirei Shirakashi, Hideo Onizawa, Ryosuke Hiwa, Koji Kitagori, Shuji Akizuki, Ran Nakashima, Masao Tanaka, Hajime Yoshifuji, Akio Morinobu (2022). Medium-term impact of the SARS-CoV-2 mRNA vaccine against disease activity in patients with systemic lupus erythematosus. Lupus Science & Medicine, 9(1):e000727.