自分にとって「良いもの」「悪いもの」を评価する神経机序の一端を解明―様々な情动価に対するサル脳の扁桃核ニューロン応答の分析から―

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 ヒト含めた动物は、嫌なものや敌から远ざかり、好きなものや仲间には近づきます。そのためには目の前の対象の情动価(良いものか悪いものか、どのくらいの强度か)を正确に素早く评価することが必要です。

 中村克樹 ヒト行动进化研究センター教授と岩沖晴彦 霊長類研究所研究員(研究当時、現:量子科学技術研究機構)の研究グループは、脳の扁桃核という場所が情動価の評価に重要な働きをしていることを明らかにしました。

 本研究では、さまざまな図形を、良いもの(报酬)あるいは悪いもの(罚)か、またその强度(大?中?小)とを関连させてサルに覚えさせた后で、扁桃核のニューロン(神経细胞)の応答を调べました。すると扁桃核のニューロンの応答は、図形の価値が报酬であるか罚であるかや、その强度(大?中?小)、あるいはこれらの情报の组み合わせを反映していることが明らかになりました。また、扁桃核は罚の情报により鋭敏に応答していることが分かりました。本成果は、脳で情动価をどのように评価しているのかという过程の一端を明らかにしたものです。この结果は、今后、情动障害などによって引き起こされる过剰な情动反応のメカニズムの理解や治疗への贡献につながることが期待されます。

 本研究成果は、2022年9月6日に、国際学術誌「Journal of Neuroscience」にオンライン掲載されました。

文章を入れてください
サルに良いものと悪いものを覚えさせ、扁桃核ニューロンの活动を记録した。その结果、报酬もしくは罚の情报のみをもつニューロン、报酬か罚かに加えて强度の情报ももつニューロン、强度の情报のみもつニューロン、いずれの情报ももたないニューロンなど、扁桃核は様々な方法で情动価を表现していた。また、罚に対して応答するニューロンの数が报酬に対して応答するニューロンの数より多かった。

研究者のコメント

「私は一贯して情动を生む脳のメカニズムに兴味があり、大学院入学以来、いろいろな方法でサルの刺激に対する情动価を定量化しようと试みてきました。サルは言叶がわからないので苦労しましたが、指导教员の中村克树先生をはじめとする、研究室の方々のアドバイスによって、今回、情动価の定量化に成功しました。本论文は私にとって初めての笔头论文であり、论文が受理されたときはとても嬉しかったです。」(岩冲晴彦)

研究者情报
研究者名
中村 克樹
书誌情报

【顿翱滨】

【书誌事项】
Haruhiko Iwaoki, Katsuki Nakamura (2022). Neuronal Encoding of Emotional Valence and Intensity in the Monkey Amygdala. Journal of Neuroscience, 42(40), 7615-7623.