琵琶湖流域におけるカワリヌマエビ类の実态を解明―1世纪ぶりの在来种の発见と外来种の分布拡大を报告―

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 大貫渓介 理学研究科博士課程学生と福家悠介 同博士課程学生は、滋賀県では絶滅したと考えられていたミナミヌマエビ(ヌマエビ科カワリヌマエビ属)を琵琶湖流入出河川から再発見しました。滋賀県におけるミナミヌマエビの記録は1915年が最後で、約1世紀ぶりの発見となります。その一方で、近縁の外来種シナヌマエビが琵琶湖内や周辺河川に広く定着していることと、在来種ミナミヌマエビと交雑している可能性が高いことが遺伝的?形態的解析から明らかになりました。

 本研究では、琵琶湖とその流入?流出河川で採集されたカワリヌマエビ类の遗伝情报を取得し、集団の特徴を调べました。また、在来种と外来种を判别できるとされている形态形质について、定量的なデータを取得し、1915年に琵琶湖から採集されたミナミヌマエビの标本も含めて比较しました。

 在来种と外来种は遗伝解析により明瞭に区别することができましたが、これまで种判别に用いられてきた形态形质だけでは両种を完全には判别できないことがわかりました。今后、各地の集団が在来种か外来种を确実に判别するためには、顿狈础分析が必要になると考えられます。

 本研究成果は、2022年8月13日に、国際学術誌「Conservation Genetics」にオンライン掲載されました。

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本研究の主役、ミナミヌマエビ Neocaridina denticulata のオス个体(撮影:福家悠介)

研究者のコメント

「东京に住んでいた中学生の顷、游び场だった涌水にシナヌマエビが侵入し、急激に数を増やすのを间近に见てきました。日本各地に侵入している外来カワリヌマエビ类の在来种への影响はまだよく分かっていません。この研究をきっかけに、外来カワリヌマエビ研究が进展していけばと思います。」(大贯渓介)

「カワリヌマエビ类は外来种の移入と同定の难しさによる取っ付きづらさからか、研究者人口が大変少なく、端的に言えば空きニッチとなっています。外来种问题だけでなく、生物地理学や生态学的にも大変兴味深い生き物なので、研究対象として今后さらに注目されて欲しいと思っています。(福家悠介)

书誌情报

【顿翱滨】

【书誌事项】
Keisuke Onuki, Yusuke Fuke (2022). Rediscovery of a native freshwater shrimp, Neocaridina denticulata, and expansion of an invasive species in and around Lake Biwa, Japan: genetic and morphological approach. Conservation Genetics, 23(5), 967–980.