濱田涼太 医学部附属病院理学療法士、新井康之 同助教、近藤忠一 医学研究科非常勤講師、髙折晃史 同教授(細胞療法センター長)、松田秀一 同教授(リハビリテーション部部長)らの研究グループは、同院で実施された同種造血幹細胞移植後の患者さん186人のデータを用いて、移植前のコンピュータ断層撮影(CT)によって評価される骨格筋(大腰筋)の量および質が移植後の予後に及ぼす影響を検討しました。その結果、従来知られていた造血細胞移植特異的併存疾患指数(HCT-CI)高値などに加えて、移植前における骨格筋の質的変化が移植後の予後に影響を及ぼすことを明らかにしました。この骨格筋の「質」を決定する具体的要素は、骨格筋の細胞質内に過剰に蓄積している脂肪であり、これにより脂肪変性が進行しているかを判断します。
近年、サルコペニアやがん悪液质などで代表される骨格筋の减少は移植后の成绩に影响を及ぼすことが示され、移植前时点での骨格筋评価の重要性が明らかになってきています。しかし、脂肪変性が进行した「质の悪い」骨格筋においては骨格筋量が过大评価される可能性があります。従来、この筋肉の质に関しては、よい评価指标がありませんでした。今回の研究では颁罢画像を用いて骨格筋の质を正确に评価することに成功し、さらに质の悪化、すなわち脂肪変性の进行が移植后の予后指标として有用であることを証明しました。この成果は、移植前后のリハビリテーションを含む集学的治疗をより强化することによって、同种造血干细胞移植后の成绩改善につながる可能性を示唆しています。
本研究成果は、2022年6月19日に、移植?細胞療法学会の学会誌「Transplantation and Cellular Therapy」にオンライン掲載されました。

研究者のコメント
「医学部附属病院では、血液内科、リハビリテーション部、血液内科病栋、栄养士、薬剤师などがチームを组み、移植前の时点より患者さんの医学的状态、体力や筋力、栄养状态などを评価し、情报共有を行いながら、移植に向けてのチーム医疗を実践しています。本研究で明らかになった骨格筋の脂肪変性の进行は颁罢画像を用いて各移植施设で简便に评価することが可能です。今回の研究が、移植成绩向上につながることを期待しています。」(滨田凉太、新井康之)
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【书誌情报】
Ryota Hamada, Tsugumi Asano, Masanobu Murao, Junsuke Miyasaka, Michiko Matsushita, Taishi Kajimoto, Ayumi Otagaki, Manabu Nankaku, Yasuyuki Arai, Junya Kanda, Tadakazu Kondo, Akifumi Takaori-Kondo, Ryosuke Ikeguchi, Shuichi Matsuda (2022). Intramuscular adipose tissue content predicts patient outcomes after allogeneic hematopoietic stem cell transplantation. Transplantation and Cellular Therapy, 28(9), 602.e1-602.e7.