ネコはヒトに非常に身近な動物でありながら、これまでネコがヒトの発話を識別しているのか、科学的には全くわかっていませんでした。そこで、高木佐保 文学研究科日本学術振興会特別研究員(PD)(現:麻布大学特別研究員/日本学術振興会特別研究員(SPD))、荒堀みのり 同日本学術振興会特別研究員(DC1)(現:アニコム先進医療研究所株式会社 研究員/野生動物研究センター 特任研究員)、千々岩眸 同教務補佐員(現:大阪大学 特任研究員)、藤田和生 同教授(現:名誉教授)、黒島妃香 同准教授、齋藤慈子 上智大学准教授、子安ひかり 麻布大学博士後期課程学生(現:同特任助教)、永澤美保 同講師(現:准教授)、菊水健史 同教授らの共同研究グループは、ネコが同居する他のネコや同居するヒト家族の名前と顔の対応を理解しているのか、家庭で飼育されているネコとネコカフェで飼育されているネコを対象に調べました。
モニターの前にネコを座らせ、同居する他のネコの名前(実験1)もしくは同居するヒト家族の名前(実験2)を呼ぶ声を再生した后に、それらの名前の人物と一致?もしくは不一致の颜写真を呈示しました。もしネコが同居するネコやヒトの名前と颜の対応を理解しているのであれば、期待违反法により不一致条件でモニターを注视する时间が増えることが予想されます。実験の结果、実験1では家庭ネコ群で名前と不一致のネコ写真を长く见ることがわかりました(ネコカフェ群では注视时间に条件间の差はみられませんでした)。実験2では、全体的な差は见られませんでしたが、详しくみると、饲育期间が长く?家族の多い家庭で饲育されているネコほど、名前と不一致の家族写真を长くみることがわかりました。これらの结果から、少なくとも家庭で多头饲育されているネコは、同居する“友达”の名前を认识しており、その名前を闻いた时に、その个体の颜を予测することがわかりました。また、実験2からヒト家族の名前の学习には、どれくらいその名前を闻く机会があるのかが関係している可能性が示唆されました。
ネコは科学的にはヒトの発声をどの程度理解しているのかはわかっていませんでしたが、ヒトとの日常生活の中で、特に训练せずとも、ある个体の名前とその个体の颜との対応を学习していることがわかりました。
本研究成果は、2022年4月13日に、国際学術誌「Scientific Reports誌」にオンライン掲載されました。

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【书誌情报】
Saho Takagi, Atsuko Saito, Minori Arahori, Hitomi Chijiiwa, Hikari Koyasu, Miho Nagasawa, Takefumi Kikusui, Kazuo Fujita, Hika Kuroshima (2022). Cats learn the names of their friend cats in their daily lives. Scientific Reports, 12:6155.
朝日新聞(4月30日夕刊 7面)および京都新聞(5月18日夕刊 7面)に掲載されました。