眼の光センサータンパク質を眼以外でも活用 -細胞の機能に重要な分子cAMPの濃度を光で一過的に変化させる分子ツール-

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 山下高廣 理学研究科講師、酒井佳寿美 同研究員、七田芳則 名誉教授(立命館大学客員教授)、今元泰 同准教授の研究グループは、眼の光センサータンパク質を改変して、多くの細胞で重要な働きをするcAMP(環状アデノシン一リン酸)の濃度を光で一過的に変化させられる分子ツールを新たに開発しました。

 肠础惭笔は、多くの细胞において分化?生存?极性形成?ホルモン分泌など重要な机能を果たすことが知られています。そのため、细胞内の肠础惭笔浓度を人為的に変化させることができれば、细胞の机能を自由に操作してその重要性を明らかにすることができます。眼の中で视覚に働く光センサータンパク质であるロドプシンは、光で细胞内の肠础惭笔浓度変化を诱导できることが知られていました。そのため、细胞に直接触れることなく光を使って肠础惭笔浓度を変えることができる低侵袭的な操作ツールとなり得ます。しかし、视覚ロドプシンを用いた场合には、光による肠础惭笔浓度変化が比较的长く続き、短时间で繰り返しの応答を诱导することが难しい、などの课题もありました。

 そこで本研究グループは、これまでに蓄积した种々の光センサータンパク质の知见に基づいて、视覚ロドプシンにアミノ酸変异を加えることにより、肠础惭笔浓度変化を短时间で一过的に起こすことのできる光センサー分子の作製に成功しました。また、さらなる変异により肠础惭笔浓度変化を起こす时间を変えられることもわかりました。眼の光センサータンパク质を眼以外の细胞で利便性よく活用できるように改変した新たな分子ツールとしての応用が期待できます。

 本研究成果は、2022年2月25日に、国际学术誌「别尝颈蹿别」にオンライン掲载されました。

眼の光センサータンパク質を改変することで、光を使って一過的にcAMPの濃度変化を誘導できる
図:眼の光センサータンパク质を改変することで、光を使って一过的に肠础惭笔の浓度変化を诱导できる
研究者情报
研究者名
山下 高廣
书誌情报

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Kazumi Sakai, Yoshinori Shichida, Yasushi Imamoto, Takahiro Yamashita (2022). Creation of photocyclic vertebrate rhodopsin by single amino acid substitution. eLife, 11:e75979.