協力し合えば強くなる、半導体量子ドットの集団増強効果の観測に成功 -量子センサーやエネルギー変換に新たな道-

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 田原弘量 白眉センター特定准教授、坂本雅典 化学研究所准教授、寺西利治 同教授、金光義彦 同教授の研究グループは、半導体量子ドットを結合させた結合量子ドット膜において、量子ドットどうしが協力し合うことで現れる集団増強効果を世界で初めて観測することに成功しました。

 コロイド半导体量子ドットは化学合成で作ることができるナノメートルサイズの微小な半导体结晶です。この材料は、结晶サイズを制御することで光の吸収と発光の波长を変化させることができるため、溶液涂布型の太阳电池や発光ダイオードに向けた研究が行われています。これまで量子ドットの光学特性は、互いに离れた状态にある量子ドット(结合していない量子ドット)について研究が进められてきました。しかし、量子ドットを结合した结合量子ドットの量子光学的特性については明らかになっていませんでした。

 本研究グループは量子ドット间の结合による新しい现象や机能を探索?开拓する目的で、表面化学処理によって量子ドットどうしを结合させた结合量子ドット膜を作製しました。结合量子ドットの特性は电子の量子力学的な振る舞いに现れるため、その特性を正确にとらえるためにレーザー光を用いた量子干渉法と光电流计测法を组み合わせた独自の测定を行いました。その结果、结合していない量子ドットよりも结合した量子ドット膜の方が、光电流における量子干渉の信号が强くなる「集団量子増强効果」を発见しました。この発见は结合量子ドットでは电子の量子力学的な特性が强められること、さらに结合量子ドットの中で光の周波数を倍増して変换できることを示しているため、高感度の量子センサーや新しいエネルギー変换などの次世代光电量子デバイスにつながると期待されます。

 本研究成果は、2021年12月17日に、国際学術誌「Physical Review B」のLetterとしてオンライン版に掲載されました。

半導体量子ドットを結合させた結合量子ドット膜において、量子ドットどうしが協力し合って量子力学的な特性を強めること(集団増強効果)を発見しました。
図:半导体量子ドットを结合させた结合量子ドット膜において、量子ドットどうしが协力し合って量子力学的な特性を强めること(集団増强効果)を発见しました。
研究者情报
研究者名
田原 弘量
研究者名
坂本 雅典
研究者名
寺西 利治
研究者名
金光 義彦
书誌情报

【顿翱滨】

【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】

【书誌情报】
Hirokazu Tahara, Masanori Sakamoto, Toshiharu Teranishi, and Yoshihiko Kanemitsu (2021). Collective enhancement of quantum coherence in coupled quantum dot films. Physical Review B, 104, L241405. 

メディア掲载情报

読売新聞(1月21日 13面)に掲載されました。