谷戸崇 理学研究科?日本学術振興会特別研究員と本川雅治 総合博物馆教授は、日本産ネズミ類の雄交尾器の比較形態学的研究を行い、種間の形態の多様性と、遠位部にある側乳頭突起の可動の仕組みとその機能的意義を明らかにしました。
ネズミ类の雄交尾器の多様性は、种分化につながる生殖隔离に大きく関係することから、分类学などで重要な形质とされてきました。これまでは、骨要素である阴茎骨に限った例が多かったですが、今回本研究グループはその周辺组织も含め雄交尾器全体に着目して研究しました。
今回调査した日本产ネズミ类11种すべてで雄交尾器である阴茎の内部には阴茎骨体が认められ、さらに远位部に正乳头突起と2つの侧乳头突起からなる叁叉构造がありました。それぞれの発达程度は种によって大きく异なり、雄交尾器形态の多様性が生じていることが明らかになりました。また、组织学的な解析から侧乳头突起が交尾时に外侧に可动し、阴茎远位部の膨张に贡献することが示唆されました。本研究成果はこれまで注目されなかった阴茎远位部の形态が种によって多様であり、ネズミ类の阴茎の膨张様式に机能的意义をもつことを初めて示すものです。雄交尾器の繁殖戦略における役割について新たな知见につながることも期待されます。
本研究成果は、2021年6月21日に、国際学術誌「Mammal Study」のオンライン版に掲載されました。

【顿翱滨】
Takashi O. Yato, Masaharu Motokawa (2021). Comparative Morphology of the Male Genitalia of Japanese Muroidea Species. Mammal Study, 46(4), 269-278.
毎日新聞(7月6日 21面)に掲載されました。