植食性昆虫と土壌菌が樹木の多様性の維持と遷移のカギを握ることを解明 ?樹木の実生を用いた大規模な野外生態系実験で実証?

ターゲット
公开日

 门脇浩明 フィールド科学教育研究センター特定助教(現?白眉センター特定准教授)、东树宏和 生态学研究センター准教授らの研究グループは、大規模野外操作実験を通じて植食性昆虫と土壌微生物が樹木の多様性の維持や種の移り変わり(遷移)のカギを握る重要な要因であることを明らかにしました。

 森林は多様な种类の树木が共存することで成り立っています。その多様性を维持する仕组みとして、植食性昆虫や土壌微生物が特定の树种だけが増加するのを制御しているのではないかと考えられてきました。しかし、森林は非常に复雑なシステムであるため、実际に植食性昆虫や土壌微生物がどのように働き、树木群集を形作っているのかは明らかされていませんでした。

 本研究ではそれを検証するため、树木がその定着场所の环境や生物相(植食性昆虫や土壌微生物)を変化させ、更にその変化が今后、周囲に定着する実生(芽生え)の成长や生存にまで波及する过程(「生态的フィードバック」现象と呼びます)を実験的に再现しました。具体的には、ミニ森林生态系を土から作り、実生を移植することで成长を追跡し、同时に、节足动物(昆虫?クモ类)と土壌菌の网罗的な大规模野外调査を行いました。地上および地下における树木と様々な生物との相互作用のネットワークが実生の定着や成长に及ぼす影响を生态系レベルで検出することに成功しました。

 本研究成果は、2021年2月18日に、国际学术誌「翱别肠辞濒辞驳颈补」のオンライン版に掲载されました。

京都大学理学部植物園の実験サイトで観察された動物(植食性昆虫に加え、それらを餌とする捕食性の種も見られた)
図:京都大学理学部植物园の実験サイトで観察された动物(植食性昆虫に加え、それらを饵とする捕食性の种も见られた)
研究者情报
研究者名
门脇浩明
研究者名
东树宏和
研究者名
佐藤博俊
书誌情报

【顿翱滨】

Kohmei Kadowaki, Satoshi Yamamoto, Hirotoshi Sato, Akifumi S. Tanabe & Hirokazu Toju (2021). Aboveground herbivores drive stronger plant species-specific feedback than belowground fungi to regulate tree community assembly. Oecologia, 195, 773-784.