前田玉青 野生动物研究センター博士課程学生、山本真也 高等研究院准教授、セドリック?スール 仏?ストラスブール大学准教授らの研究グループは、野生化したウマが重層社会を持つことをドローンからの観察により明らかにしました。
重层社会とは、安定なユニット群(最小単位の群れ)が集まってより高次の集団(以下「集団」も同义)をつくる、入れ子构造になった社会のことですが、その复雑な社会の进化経路や机能については未解明な点が多く残されています。
本研究グループは、ポルトガル?アルガ山に生息する23ユニット群121个体(+単独オス5头)から成る野生化ウマの集団を、ドローンを使って上空から観察し、个体配置のデータを定量的に分析する手法を开発しました。ドローンを30分おきに飞ばし、フィールド上にいる个体全ての航空写真を连続撮影して、オルソ図(连続撮影した空中写真を位置ズレのない画像に変换したもの)を作成しました。これに地上からの観察を组み合わせ、上空からの観察でも全个体を个体识别することに成功しました。これまでの研究から、ウマの社会がハーレム群(1-2头のオスと复数のメスおよびその子どもから成る群)?バチェラー群(オスだけの群)?単独オスからなることがわかっていますが、その集団全体の全个体を个体识别し、正确な位置情报をもとに社会ネットワーク分析をおこなった研究は本研究が初めてです。
本研究によって、ポルトガル?アルガ山に暮らす野生化ウマは、ユニット群とその集団、2つの阶层を持つ重层社会を形成していることが示されました。このような个体间距离を用いた定量的分析はさまざまな动物种にも応用可能な手法です。本研究で确立した手法は、重层社会の种を超えた共通の定义づけや、种间?个体群间比较を进める上で非常に有用であり、重要な成果といえます。重层社会の空间构造を捉えた研究は非常に少なく、今后、时系列比较や种间比较などを通して、重层社会の进化や机能のさらなる考察の発展が期待されます。
本研究成果は、2021年1月8日に、国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。

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Tamao Maeda, Sakiho Ochi, Monamie Ringhofer, Sebastian Sosa, Cédric Sueur, Satoshi Hirata & Shinya Yamamoto (2021). Aerial drone observations identified a multilevel society in feral horses. Scientific Reports, 11:71.
中日新聞(1月25日 19面)に掲載されました。