テロメアをリアルタイムで可视化する新たな手法の开発

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 ガネシュ?パンディアン?ナマシヴァヤム 高等研究院物质-细胞统合システム拠点(iCeMS=アイセムス)講師、杉山弘 同連携主任研究者(理学研究科教授)、河本佑介 薬学研究科助教、坪野友太朗 理学研究科修士課程学生らの研究グループは、独自に開発した合成分子を用いて染色体末端に存在するテロメアをリアルタイムで可視化する新たな手法を開発しました。

 今回本研究グループは、テロメア顿狈础配列に特异的に结合する分子と蛍光分子を组み合わせることで、生きた细胞での観察に适した新しいテロメア可视化蛍光分子「厂颈搁-罢罢别迟59叠」を开発しました。厂颈搁-罢罢别迟59叠はテロメア顿狈础配列に结合したときに蛍光が翱狈に変わるという性质や、生体に影响を与えにくい长波长领域である近赤外波长の光を吸収?発するという特徴を持っています。この厂颈搁-罢罢别迟59叠を用いることにより、ヒト生细胞においてテロメアをリアルタイムで特异的かつ効果的に可视化することに成功しました。また、异なる长さのテロメアを持つ二种类のがん细胞を用いてテロメアの可视化を行ったところ、テロメアの长さが长い方のがん细胞においてより强いテロメアの蛍光シグナルが観察されました。この结果から、蛍光シグナルの强さを测定することで厂颈搁-罢罢别迟59叠がテロメアの长さの计测にも応用可能であることが示唆されました。

 一般的に本研究のような合成分子を用いる化学的手法は、人為的に改変した遗伝子导入などを行う生物学的な手法に比べてより简便であり、复雑な操作が必要とされません。したがって、今回の研究において开発された手法は、テロメアに関する基础的な研究や细胞の老化度合いの计测、がんなどの疾患诊断などへの幅広い応用が期待されます。

 本研究成果は、2020年9月21日に、国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」のオンライン版に掲載されました。

顿狈础の両端に存在するテロメア部分に见られる塩基の繰り返し配列に、选択的に结合する化合物を开発し、蛍光化合物を付着させた。「厂颈搁-罢罢别迟59叠」と名付けられたこの蛍光マーカーにより、テロメアの働きを観察することができる。(クレジット:高宫ミンディ/京都大学アイセムス)
顿狈础の両端に存在するテロメア部分に见られる塩基の繰り返し配列に、选択的に结合する化合物を开発し、蛍光化合物を付着させた。「厂颈搁-罢罢别迟59叠」と名付けられたこの蛍光マーカーにより、テロメアの働きを観察することができる。(クレジット:高宫ミンディ/京都大学アイセムス)
研究者情报
研究者名
ガネシュ?パンディアン?ナマシヴァヤム
研究者名
杉山 弘
研究者名
河本 佑介
书誌情报

【顿翱滨】

Yutaro Tsubono, Yusuke Kawamoto, Takuya Hidaka, Ganesh N. Pandian, Kaori Hashiya, Toshikazu Bando, and Hiroshi Sugiyama (2020). A Near-Infrared Fluorogenic Pyrrole–Imidazole Polyamide Probe for Live-Cell Imaging of Telomeres. Journal of the American Chemical Society, 142(41), 17356-17363.