北川進 物質ー細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)拠点長、細野暢彦 同特定助教(現?東京大学講師)らの研究グループは、原子間力顕微鏡という顕微鏡を利用して直接結晶の表面を観察することで、多孔性配位高分子(PCP)と呼ばれる多孔性結晶の表面が外環境に存在する分子を認識して非常に柔軟に変形していることを、世界で初めて明らかにしました。
この结晶表面は、ある分子を认识すると正方形の格子构造から菱形へと変形します。これまで、分子の浓度がある一定以上になると、构造を柔软に変化させる多孔性结晶があることが知られていましたが、その表面がどのように振る舞っているのかは全くの谜とされていました。
しかし、本研究により、多孔性结晶の表面の変形は実は结晶全体よりも低浓度で起こっていること、つまり、结晶内部よりも结晶表面はより敏感に応答しているということがわかりました。今回発见した现象を利用すれば、微量な物质を検知する高感度センサーや、ナノレベルで物质を选り分ける分离膜など、幅広いナノテクノロジーへの応用につながります。
本研究成果は、2018年12月4日に、国際学術誌「Nature Chemistry」のオンライン版に掲載されました。

図:柔軟に形を変えるPCPの表面が観察された。(イラスト:髙宮泉水 iCeMS特定助教)
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
Nobuhiko Hosono, Aya Terashima, Shinpei Kusaka, Ryotaro Matsuda & Susumu Kitagawa (2018). Highly responsive nature of porous coordination polymer surfaces imaged by in situ atomic force microscopy. Nature Chemistry, 11(2), 109-116.
- 日刊工業新聞(12月4日 24面)に掲載されました。