山野隆志 生命科学研究科助教、福澤秀哉 同教授らの研究グループは、水中に生息する藻類が持つ効率的な光合成に必須な二酸化炭素濃縮システムを明らかにしました。
本研究成果は、2015年5月26日(米国时间)付で米国科学アカデミー纪要に掲载されました。
研究者からのコメント
左から福泽教授、山野助教
现在の地球环境は、温暖化?食粮不足?エネルギー枯渇などさまざまな问题を抱えています。これに対して、植物プランクトンが持つ遗伝子を利用して光合成の能力を高めた植物を创出することで解决しようとする试みが、世界的な竞争のなか进められています。植物プランクトンの緑藻で、叶緑体の内部に二酸化炭素(颁翱 2 )を浓缩する仕组みが今回初めて解明されました。この仕组みを担う重炭酸イオン输送体を利用することで、上记の解决困难な问题のブレイクスルーにつながるような研究を进めていきたいと思います。
- 细胞膜と叶緑体包膜に局在する二つの输送体が协调して、重炭酸イオンを细胞の外から叶緑体内部に输送?浓缩することで、光合成の効率が高くなっていることを解明
- 今回明らかにした二つの重炭酸イオン输送体からなる颁翱 2 浓缩システムが、高い光合成能を持つ藻类?植物の创出へ利用できると期待
概要
光合成で生育する植物にとって必要な颁翱 2 を、细胞内に効率よく取り込むことは植物の生存に必须です。水中では颁翱 2 の拡散速度が大気中の10,000分の1であることが知られており、水中に生息する藻类は、多くの陆上植物にある颁翱 2 固定回路のみでは十分に光合成が行えません。このような水中の颁翱 2 欠乏环境においても光合成を维持して生存するために、藻类は细胞膜と叶緑体包膜という二つの障壁を乗り越えて、能动的に重炭酸イオンを取り込み、细胞内に浓缩することで光合成を维持します。この藻类の颁翱 2 浓缩现象は1980年に発见されましたが、その输送を担っている分子の详细は长らく不明でした。
そこで本研究グループは、淡水中や土壌に生息するミドリムシの一种である単细胞緑藻クラミドモナスから、细胞膜と叶緑体包膜に局在する重炭酸イオン输送体の同定を试みました。その结果、淡水に生息する藻类が共通してもつ、细胞膜と叶緑体包膜の2段阶からなる重炭酸イオン输送経路が初めて解明されました。
緑藻クラミドモナスのモデル図と、今回明らかにした贬尝础3と尝颁滨础による重炭酸イオンの输送経路(赤点线)
详しい研究内容について
书誌情报
[DOI]
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Takashi Yamano, Emi Sato, Hiro Iguchi, Yuri Fukuda, and Hideya Fukuzawa
"Characterization of cooperative bicarbonate uptake into chloroplast stroma in the green alga Chlamydomonas reinhardtii"
PNAS 2015 ; published ahead of print May 26, 2015
- 京都新聞(5月26日夕刊 8面)に掲載されました。