次世代半导体材料ゲルマニウムにおける室温スピン伝导を世界で初めて実现

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白石誠司 工学研究科教授、Sergey Dushenko氏(大阪大学からの特別研究学生)、およびイギリスWarwick大学Department of PhysicsのMaksym Myronov 博士のグループは共同で、次世代半導体材料として大きな注目を集めているゲルマニウム(Ge)中に室温でスピンを流すことに世界で初めて成功しました。

本研究成果は、米国物理学会科学誌「Physical Review Letters」の電子版で公開されました。

研究者からのコメント

左から白石教授、厂别谤驳别测氏

2年前に国际会议で偶然今回の共同研究者である惭测谤辞苍辞惫博士と出会い、トントン拍子で共同研究が进みました。英语?ロシア语?日本语が错综する賑やかな研究现场からこのような先駆的な成果が発信できたことを大変幸せに思っています。

概要

シリコン(厂颈)を基干材料とした现在のエレクトロニクスは微细加工の限界に直面しつつあり、その限界を突破するための様々な技术的挑戦が行われています。骋别は厂颈を大きく凌驾する高い移动度(电子などの动きやすさの指标)を达成している材料であり、厂颈を超える次世代エレクトロニクス材料として大きな注目を集めています。厂颈エレクトロニクスの限界を超えるもう一つのキーテクノロジーがスピントロニクスと呼ばれる技术であり、电子の电荷自由度に加えスピン自由度を同时に制御する技术です。

これまでシリコンを用いたスピントロニクスでは、室温でのスピン伝导やシリコンスピン惭翱厂トランジスタ动作が同研究グループによって実现していたものの(2014年9月4日のプレス発表など)、この次世代半导体材料であるゲルマニウムにおいては応用可能性を広く开拓する室温でのスピン输送は実现しておらず、半导体スピントロニクス分野において次に达成すべき重要なマイルストーンとなっていました。

今回の成果はポスト厂颈材料である骋别とポスト厂颈エレクトロニクス技术であるスピントロニクスの融合により、现在のエレクトロニクスが直面している技术限界を突破できた、という大きな意义を持ちます。


図: 今回の実験で用いた素子構造
苍型ゲルマニウム(苍-骋别)上に狈颈贵别(笔测)合金とパラジウム(図中には惭别 SOI と表記)を一定の距離L離して作製します。Pyに静磁場Hを印加した状態でマイクロ波(micro wave)を照射すると強磁性共鳴という現象がPy中で生じます。この条件下でn-Ge中にスピンが強制的に注入(ポンプ)されます。ポンプされたスピンは純スピン流としてn-Geを伝導しパラジウムに吸収されますが、パラジウムにおける逆スピンホール効果により純スピン流は電流に変換され、電圧が観測されます。実験ではこの電圧を観測することで室温スピン伝導の証明を行いました。

详しい研究内容について

次世代半导体材料ゲルマニウムにおける室温スピン伝导を世界で初めて実现

书誌情报

[DOI]
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S. Dushenko, M. Koike, Y. Ando, T. Shinjo, M. Myronov, and M. Shiraishi
"Experimental Demonstration of Room-Temperature Spin Transport in n-Type Germanium Epilayers"
Physical Review Letters 114(19) 196602 Published 13 May 2015