パーキンソン病の解明に役立つメダカの作製に成功 -メダカが神経変性疾患の研究に貢献できる可能性-

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髙橋良輔 医学研究科教授らの研究グループは、武田俊一 同教授、木下政人 農学研究科助教、藤堂剛 大阪大学医学研究科教授、内山安男 順天堂大学医学研究科教授らの研究グループと共同研究を行い、パーキンソン病の発症に関わる遺伝子変異メダカの作製と解析を行って、パーキンソン病の発症機序の一端を解明しました。

本研究成果は、2015年4月2日午後2時(アメリカ東部時間)に米国科学誌「PLOS Genetics」で公開されます。

研究者からのコメント

左から、山门助教、上村特定助教、木下助教

パーキンソン病をはじめ、神経変性疾患をモデル动物で再现することは简単ではありません。今回の研究はパーキンソン病の一端が再现?解明できただけでなく、メダカが神経変性疾患の解明と治疗法の开発に贡献できる可能性を示したという点で意义深いと言えます。

概要

パーキンソン病は主に50歳以上の方が発症し、徐々に运动机能障害を起こす原因不明の神経変性疾患です。我が国には约15万人の患者がいるとされ、今后社会の高齢化が进むにつれ、さらに患者数の増加が予想されています。ドーパミンの补充疗法で一时的に症状が改善しますが、病気そのものの进行を抑える治疗法は未だにありません。

そこで、上村紀仁 医学部附属病院特定助教、山門穂高 同助教、髙橋教授らの研究グループは、パーキンソン病発症の強いリスクとして知られているGBA遺伝子の変異メダカを作製しました。なお日本人においては、パーキンソン病患者の約1割がこのGBA変異を持っていると報告されています。広く病気のモデル動物として使われるマウスでは、GBA遺伝子変異にて致死的となり解析が困難であるのに対し、同遺伝子変異メダカは月単位で生存し、病気の進行を観察することができました。

この変异メダカの脳を详细に调べた结果、パーキンソン病患者で特徴的に见られるαシヌクレインというタンパク质の蓄积が确认されました。αシヌクレインはパーキンソン病を引き起こす原因タンパク质と考えられています。また、この変异メダカの神経细胞では、细胞内の不要な物质の除去のためのシステムであるオートファジー?ライソソーム系が机能不全を起こしていることがわかりました。

日本では古くから遗伝学の研究にメダカが用いられていましたが、饲育や遗伝子操作が容易であり、病気の研究にも有用と考えられています。今回の研究成果は、パーキンソン病の発症机序の一端を解明したとともに、今后の神経変性疾患の解明と治疗法の开発に向けた一歩となることが期待されます。

図:骋叠础欠失メダカは腰が曲がった姿势を示す

详しい研究内容について

パーキンソン病の解明に役立つメダカの作製に成功 -メダカが神経変性疾患の研究に貢献できる可能性-

书誌情报

[DOI]

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Norihito Uemura, Masato Koike, Satoshi Ansai, Masato Kinoshita, Tomoko Ishikawa-Fujiwara, Hideaki Matsui, Kiyoshi Naruse, Naoaki Sakamoto, Yasuo Uchiyama, Takeshi Todo, Shunichi Takeda, Hodaka Yamakado, Ryosuke Takahashi
"Viable Neuronopathic Gaucher Disease Model in Medaka (Oryzias latipes) Displays Axonal Accumulation of Alpha-Synuclein"
PLOS Genetics 11(4): e1005065 Published: April 2, 2015

掲载情报

  • 産経新聞(4月3日 24面)、中日新聞(4月3日 3面)および読売新聞(4月3日 31面)に掲載されました。