村田英一 情報学研究科准教授、田野哲 岡山大学教授、梅原大祐 京都工芸繊維大学准教授らの研究グループは、スマートフォンなどの携帯端末が近くの端末同士で相互に連携し、共同して基地局と通信する技術を開発しました。このことにより、多数の携帯端末が集まっても通信速度が低下せず、混雑が解消される効果が期待されます。
本研究成果は、电子情报通信学会移动通信ワークショップ(无线通信システム研究会、スマート无线研究会、短距离无线通信研究会、复雑コミュニケーションサイエンス研究会併催)で発表されることになりました。
研究者からのコメント
左から、梅原准教授、村田准教授、田野教授
今回开発した技术は、电车やバス内、イベント会场など、人が集まっていながら相対的にはあまり动かない环境での利用に特に适しています。このような环境で多くの人が通信を行うと、一人当たりの伝送速度が减少していました。一方、本技术では周辺端末を连携させ、近距离の无线通信を用いて端末の受信信号を共有することにより、基地局との通信容量を増加させます。これによって一人当たりの伝送速度がほとんど低下しなくなります。
概要
スマートフォンなどのモバイルデータトラフィックは年率2倍近くで増加しています。これを収容するために高い周波数の利用などが行われますが、高周波数帯は帯域幅が広く取れ、高速伝送ができるものの、通信可能距离が短く、移动にも适していません。このため、通信は高速なものの、使える场所が限られる悬念があり、今までの使いやすい周波数帯をより効果的に利用する技术が求められています。
無線LANやLTE(Long Term Evolution)などではすでにMIMO(Multi-Input Multi-Output)伝送が利用されています。これは同じ周波数で同時に複数の信号を伝送できる優れた技術であり、アンテナ数にほぼ比例した通信容量が得られます。しかし、携帯端末に備えることができるアンテナは数アンテナに限られていました。
今回、本研究グループが开発した技术は、近傍の端末が高周波数帯を利用して相互に连携することによって(下図の緑の线)、等価的に多数のアンテナを备えた一つの端末として机能させるものです。これにより、连携するユーザ数にほぼ比例して通信容量を拡大できます(下図の赤の线)。
図:携帯端末が助け合って混雑を解消している様子
详しい研究内容について
携帯端末が助け合って混雑を解消する技術の実証に成功 -増大するスマートフォンのデータ通信混雑解消に期待-
书誌情报
田中 利樹, 村田 英一
"移动端末共同干渉キャンセルの伝送特性改善と屋外走行実験"
信学技報 No. 114(490) 2015-3 pp. 369-374
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永野 裕規, 村田 英一
"端末共同受信に基づく惭滨惭翱システムにおける周波数领域繰り返し等化の伝送実験"
信学技報 No. 114(490) 2015-3 pp. 387-391
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掲载情报
- 京都新聞(3月4日 26面)、産経新聞(3月10日 29面)および日刊工業新聞(3月6日 21面)に掲載されました。