タンパク質が核膜孔を通り抜ける際の構造変化を解明 -細胞核内部への遺伝子導入技術への応用に期待-

ターゲット
公开日

吉村成弘 ?命科学研究科准教授と粂田昌宏 同助教らの研究グループは、核膜孔を通り抜ける性質を持つタンパク質群の構造的「やわらかさ」に着?し、その柔軟な構造変化が核膜孔内部の分子密集空間を通り抜けるのに重要な役割を果たしていることを明らかにしました。この発?に基づき、同研究グループでは、細胞核内部へ遺伝?や薬剤を効率よく届けるためのキャリア分?を創製するための研究に着?しており、?分裂細胞でも?い効率で遺伝?を核内部まで届けることのできる新しいデリバリーシステムの確立を目指して研究を進めています。

本研究成果は、米国科学誌「厂迟谤耻肠迟耻谤别」の电子版に掲载されることになりました。

研究者からのコメント

吉村准教授

细胞内部はタンパク质をはじめとする生体高分子で満たされています。细胞质と核质との间の物流要所である核膜孔内部も、タンパク质が密集した疎水的空间であり、ものの自由な通り抜けが制限されています。今回発表した成果では、タンパク质が自分自身のかたちを柔软に変えながら分子密集空间を通り抜けることを、分光学的手法と最新の分子シミュレーションを使って明らかにすることに成功しました。私たちが人混みの中を移动するときに、自然と自分の体を柔软に変えているのとどこか似ています。タンパク质は柔软な分子であって、结合する相手によって自分のかたちを変えることができます。今回の発见は、それが特定の相手のみならず、周囲の环境によって引き起こされることを示しています。细胞内部では、私たちが思っている以上にタンパク质はダイナミックな构造変化を繰り返しているのかもしれません。今后、そのようなタンパク质のやわらかい构造変化の原理を明らかにするとともに、遗伝子导入技术等への応用研究を进めたいと考えています。

概要

私たちの体を构成する细胞では、遗伝?は「核」という细胞内?器官に格纳されていています。遗伝?の発现等に関わるタンパク质たちが正しく働くためには、细胞质から核内部に输送されねばなりません。しかし、核は核膜で囲まれていて、细胞质との?由な物质流通が制限されています。

そこで、核内部への流通の键を握るのが、核膜に存在する「核膜孔」とよばれるタンパク质复合体です。核膜孔内部はタンパク质が密集していて、细胞内部のさまざまな?体?分?が?由に通过することを妨げています。しかし??で、细胞内部には核膜孔をうまくすり抜けることができるタンパク质が存在し、细胞质と核との间の流通において重要な働きをしています。タンパク质がいかにして核膜孔を通り抜けるかに関する分?メカニズムは、これまで明らかにされていませんでした。

同研究グループは、核膜孔を通り抜ける性质を持つタンパク质群の构造的「やわらかさ」に着?し、さまざまな分光学的?法や?化学的な?法を?いて、その柔软な构造変化が核膜孔内部の密集空间をすり抜けるのに重要なはたらきをしていることを明らかにしました。この発?に基づき、同研究グループでは、细胞核内部へ遗伝?や薬剤を効率よく届けるためのキャリア分?を创製するための研究に着?しています。


図:タンパク质が核膜孔を通り抜ける际の构造変化

バネのような构造をしたタンパク质の构造が柔软に変化することにより、分子が密集した孔内部の空间を通り抜けるとこができる。

详しい研究内容について

タンパク質が核膜孔を通り抜ける際の構造変化を解明 -細胞核内部への遺伝子導入技術への応用に期待-

书誌情报

[DOI]

摆碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝闭

Shige H. Yoshimura, Masahiro Kumeta, Kunio Takeyasu
"Structural Mechanism of Nuclear Transport Mediated by Importin β and Flexible Amphiphilic Proteins"
Structure 22, December 2, 2014