眼を动かしても外界のブレを补正して安定した视覚认知を得る仕组みを解明

ターゲット
公开日

2014年5月13日

稲場直子 学際融合教育研究推進センター健康長寿社会の総合医療開発ユニット(LIMS)特定助教と河野憲二 医学研究科教授は、眼の動きによって生じるブレを補正して、安定した、かつ、連続した視覚認知を得るのに、大脳皮質の後頭?頭頂連合野の一部であるMST野(Medial Superior Temporal Area)の働きが関与していることを明らかにしました。

この研究成果は、「米国科学アカデミー纪要笔狈础厂」オンライン版で5月12日午后3时(アメリカ东部时间)に公开されました。

研究者からのコメント

左から稲场特定助教、河野教授

今回の研究により得られた知见は、私たちが絶えず行っているさまざまな视覚情报処理の脳内メカニズムの解明に不可欠であると同时に、脳机能障害の诊断および机能改善などに役立つことが期待されています。これからも、引き続きこの仕组みの解明を目指します。

概要

眼を动かしても外界が动いているように见えないのはなぜでしょう。私たちは絶えず、非常に速い速度で眼を动かしていますが、それにもかかわらず周囲の景色を安定して见ることができます。眼はカメラによく例えられますが、もしもビデオカメラを眼と同じように动かしたら、撮影された映像はひどくブレて何が映っているか判别することができなくなってしまうでしょう。この现象は昔から気づかれていて、17世纪のデカルトの着作にも记载されています。19世纪になって、ヘルムホルツは、自分の意志で眼を动かした时には、眼の动きによって生じたブレを补正して精确で安定した视覚情报を得る仕组みがヒトの脳にはそなわっているにちがいないと指摘しました。以降、活発な検証が行われてきましたが、その実态はとらえられていませんでした。

この眼の动きによるブレを补正して安定した视覚をつくりだす脳内メカニズムを解明するため、サルの大脳高次视覚野から神経活动を记録?解析しました。

高次视覚野の神経细胞には受容野があり、それぞれの神経细胞が异なる网膜部位に映る视覚像に反応することが知られています。そこで、眼の动きによって网膜に映った视覚像の位置が移动するとき、神経细胞の受容野の位置にどのような変化が生じるのか调べました。その结果、大脳皮质の后头?头顶连合野の一部である惭厂罢野の神経细胞は、眼の动きが终わった时点で、眼が动き出す前に受容野の中にあった视覚情报を呼び起こし、その瞬间に见えている情报と统合して処理していることが明らかになりました。この実験から、惭厂罢野の神経细胞が、眼の动きの前后の情报を统合することで、眼が动くことによって生じる视覚像のブレを补正し、安定した、かつ、连続した视覚认知を维持する神経メカニズムに関与している可能性が示唆されました。

図: 「動き」を処理する脳部位とそこに至る視覚情報の流れ(サル)

详しい研究内容について

眼を动かしても外界のブレを补正して安定した视覚认知を得る仕组みを解明

书誌情报

[DOI]

Naoko Inaba and Kenji Kawano
"Neurons in cortical area MST remap the memory trace of visual motion across saccadic eye movements"
PNAS published ahead of print May 12, 2014

掲载情报

  • 朝日新聞(5月13日夕刊 11面)、京都新聞(5月24日 9面)、産経新聞(5月13日 3面)、日刊工業新聞(5月13日 19面)、日本経済新聞(5月13日 14面)および読売新聞(5月26日 14面)に掲載されました。